ニューノーマル時代に向けてのマーケティング(後編)

■アフターコロナ、ニューノーマル時代のマーケティングを想定する

まだまだ、コロナ禍に関しては、世界の情勢や、国内でも第2波、第3波のパンデミックが発生する危機感あります。ですが、いろいろな事実が時間を掛けて判明し、抗体なりワクチンなり開発され、完全とは言えませんが、コロナに対してのなんらかの対策が打ち立てられるでしょう。しかし、対策が立てられるのは時間が掛かるでしょうし、その間にコロナによる第2波、第3波のパンデミックが発生したり、世界レベルでの不景気が長引けば、消費行動、働き方、価値観などが大きく変わり、ひょっとすると貨幣価値も変わるかもしれません。これから何がどの様に変化するか分かりません。どの様に顧客、消費者が変化し、その変化に対応できる様に、消費者を理解し、同じ目線に立つ必要があるでしょう。そして、次の世界に向けて、どの様に消費者に寄り添い接点を維持すべきか考えましょう。

まず、消費者と同じ目線に立つ為には、消費者理解をより一層深める必要があります。その為には、現在の顧客リストを改めて整理して分析したり、様々な手段を用いてユーザーからヒアリングを行いましょう。そして、この分析から改めて理想の顧客、消費者を見つけ直し、理想の顧客、消費者に対しどの様なコミュニケーションを行っていたのか、改めてより深く分析を行いましょう。なぜ購入に至ったのか?購入までにどの様な情報な提供をしてきたか?と言う購入までの経路分析に加え、コロナ禍で生まれた課題などより細やかな分析を実施しましょう。もし、以前に行った消費者理解の分析があるのであれば、その差分が現時点でのコロナ禍による影響になると考えられます。また、カスタマーサービスの情報も重要な情報になるでしょう。これらの分析から、顧客や消費者が今、どの様な環境で、どの様よな状況で、どの様な課題を持って、課題解決の為の手立てをどの様に考えているのかが分かり、どの様な情報提供や課題解決の提案などコミュニケーションの方向性が決まりますので、各々の手段で発信を行いましょう。

■商材によって異なるコミュニケーション

コロナ禍の元では、需要の増減や指名買いの有無により、自社が取り扱う商材によってコミュニケーションの内容が変わってきます。需要が増えて指名買いの少ないカテゴリー、例えば、日用品や食料品、エンタメのジャンルであれば、「コロナ禍中でのユーザーとのコミュニケーション」で述べた様に、消費者が「今、知りたいこと」を中心にしたコミュニケーションを中心に、消費者に寄り添う事が重要になります。日用品や食料品と言えば、多少の需要の増減があるかもしれませんが、常日頃のコミュニケーションにあわせ、コロナに対する情報を加える程度にしましょう。

次に、コロナ禍により需要が増え、指名買いが多いカテゴリー、例えば、通信教育やテレワーク環境に伴う商品などがそれに当たるでしょうか。ここのカテゴリーは急遽必要になったので、消費者が商材に対する知識が浅いケースが多く、通信教育などであればお試しコースなど、無料や低料金で試せる環境を整えたり、テレワーク環境に伴う商品であれば、適切な商品情報の提供を心掛けましょう。また、商品に対する知識が浅い為、消費者が色々と情報を探している状況ですので、口コミにも十分注意が必要になり、その口コミから、改めて消費者にとって必要な情報を提供するのが適切な動きだと思います。

この二つのカテゴリーに関しては、コロナ禍で需要が増え、在庫切れなど起きている商品も多々あります。ですので、生産体制や在庫状況を踏まえ、慎重にコミュニケーションを取らないと、コミュニケーションロスだけでなく、逆に、顧客に不満を募らせる結果にもなり得ますので、ご注意ください。

続いて、コロナ禍により需要が減り指名買いが少ないカテゴリー、外食やファッション、美容に関わる商品になります。特に外食は三密や不要不急の外出自粛により、ダメージが大きいです。特に外食産業の多くはローカルビジネスで、余程有名店出ない限り商圏が狭く存続に関わる問題になっていると思います。今までキチンとコミュニケーションとって、コミュニティが形成できている店とそうでない店の差が出てきているなと感じられ、私の家の近所にあるカジュアルフレンチのお店では、テイクアウトと契約農家の野菜を売出し、開店時には行列をなしています。コミュニティ形成が出来ていない店でも、都市部であればUberEatsなどのフードデリバリーやテイクアウトを開始して、有志などが展開しているまとめサイトなどに掲載してもらって集客しています。また、有名店などはEC化を推進していた様に見受けられます。ファッションや美容に関しては、テレワーク環境にあう商品の提案でコミュニケーションを深め、EC利用の促進などで売上の維持を行うのベターだと思います。

最後に、コロナ禍により需要が減り指名買いが多いカテゴリーになります。旅行や宿泊、ライブエンターテイメント、ハイブランドのファッションに関わる業種になります。こちらのカテゴリーは、また会える日まで情報を発信し続けて、コミュニケーションを深める動きが重要になります。例えば、有料公開すべきコンテンツの無料公開であったり、人気の観光地ですが観光客がいないと言う珍しい光景であったり、今だからこそ出来るコンテンツを提供し、将来の顧客、消費者を数多く抱え込むタイミングだと考えています。

どのカテゴリーでも言える事ですが、今、消費者は外出しづらい状況で、人対人のコミュニケーションに対して渇望しています。Zoom飲みであったり、「あつまれ どうぶつの森」のヒットなど、リモート環境でも楽しめる人対人のコミュニケーションを欲しています。そのコミュニケーションに実際に入り込めればいいのですが、実際にはその様な機会はそうそうありません。そのコミュニケーションの話題になる様なネタをいかに提供できるのかが接点維持のキモになります。今までの様にお祭り騒ぎの様に露出を増やすだけでは話題になる機会は得られなく、逆に、寄付やSDGs活動に注力するのも一つの手段だと思いますし、在庫切れをなくす様な生産体制、流通体制の構築などでもいいでしょう 。とにかく、顧客や消費者に寄り添い、共感を得れるコミュニケーションや活動を行いましょう。そしてファン化、コミュニティ化を推進し、いつかくる新しい日常に向けて準備をしましょう。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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