Googleトレンドから見る新語・流行語大賞

先日、毎年恒例の『ユーキャン新語・流行語大賞』のノミネート語が発表されました。
「今年の漢字」や「サラリーマン川柳」などと並び、
現代の世相を反映する一つの指標として認識されていると思いますが、
実際にいつの時期に検索され、どのように検索されているのでしょうか?
最も手っ取り早いのが「Googleトレンド」で調べることです。
Google トレンドとは、Google で検索されるキーワードの検索回数の推移がわかる、無料で使えるツールです。
今回はGoogleトレンドを通じて新語・流行語大賞を見てみたいと思います。

■新語・流行語大賞にノミネートされた言葉

では、新語・流行語大賞にノミネートされた言葉をみてみましょう。

アベノマスク、アマビエ、新しい生活様式/ニューノーマル、3密(三つの密)、クラスター、ソーシャルディスタンス、濃厚接触者、PCR検査、エッセンシャルワーカー、GoToキャンペーン、ウーバーイーツ、おうち時間/ステイホーム、オンライン○○、テレワーク/ワーケーション、Zoom映え、自粛警察、BLM運動、総合的/俯瞰的、カゴパク、フワちゃん、まぁねぇ〜、時を戻そう、鬼滅の刃、香水、顔芸/恩返し、NiziU、あつ森、AI超え、愛の不時着/第4次韓流ブーム、ソロキャンプ

改めて見ても、オリンピックで盛り上がるはずだったスポーツ関連の言葉はなく、コロナ関連、コロナに起因した言葉が多いですね。
何十年後の歴史の教科書に載るレベルの出来事だなと総合的、俯瞰的に見ても現れています(あえて使ってみた)。
過去の新語・流行語を見てみても、多少の違和感を感じつつもその時、その時を刻んでいると思います。ちなみに皆さん違和感を感じてらっしゃると思いますが、その違和感は「身の回り」にない言葉がノミネートされていること、ひいては接触メディア、接触情報の細分化と多様性、そしてそれらの情報の要約の難しさだと思います。
メディアが少ない頃は、国民的○○○○など成立しましたが、今の時代ではそれぞれが接触する情報や体験が細分化して難しいですからね。
少し脱線しましたが、これらのノミネートされた言葉がいつ頃よく検索されたのか、Googleトレンドで見てみましょう。

■Googleトレンドで調べてみる

試しに、「アマビエ」をGoogleトレンドで調べてみました。

計測期間は調査した当日を基準に過去12ヶ月、全てのカテゴリーでウェブ検索の結果になります。
上のグラフはMAXを100として検索回数の推移になります。ピークは4月19日〜25日の週に迎えていますね。
その下の日本地図はどこで検索されているかが記載されています。
熊本県、茨城県、秋田県の順に検索されているようです。
その下に関連トピック、関連キーワードが記載されています。
期間を伸ばしたり、逆に絞る事も可能ですので、
例えば、4月12日〜5月2日に絞ると下記のグラフのようになります。

年間通して、4月19日〜25日週で検索のピークだったのですが、
日単位で見ると4月16日にピークを迎えているようです。
例えば、「なぜアマビエという言葉が流行っているのか?」
を調査する場合、4月16日以前を調べればいいということが分かり、
期間の絞り込みが出来るのです。

次に、「アマビエ」と「アベノマスク」をGoogleトレンドで比較してみましょう。

「アマビエ」はピークから比較的なだらかに下っているに対し、「アベノマスク」は上下に振れながら下がっています。
ニュースと照らし合わせると4月のピークは先行配布されたマスクから異物混入があった件、5月は全国で配布が開始され手元に届き、
東京都が配布完了になったくらい、7月は追加配布案が上がってきた頃でしょうか。
このように急激に検索数が伸びたのは何かしらの理由があるのです。

■色々と比べてみる

ノミネートされた言葉の中で、違和感を覚える「カゴパク」と言う言葉。
新語・流行語大賞にノミネートされた事により検索のピークを迎えています。

本当の話題は「レジ袋有料化」じゃないでしょうか?
「レジ袋」と早速比べてみましょう。

「カゴパク」より、「レジ袋有料化」の方がノミネートに相応しいと一目瞭然なのですが。。。
新語・流行語大賞は、原因となった事象より、
その影響で発生した言葉というのがここ数年多いような気がしますが、ここまで差があると。。。。

新語・流行語大賞はTVやラジオで非常に話題になりやすいのですが、
深夜ラジオで伊集院光氏が「M 愛すべき人がいて」の関連キーワードが入っていないことに違和感があると申してましたが、
これもGoogleトレンドで色々と比べてみましょう。
まずは「愛すべき人がいて」で調べてみると。

ドラマ開始時点にまずピークが来てます。ドラマのスタートタイミングでの掴みはOKって感じすね。
ドラマ後半に向けてもう一山作りたかったでしょうが、
コロナ禍での放送休止もあり、今一つ伸び切れていないように見受けられますね。

このドラマの話題になったのは「田中みな実」の怪演でしょう。
では、「田中みな実」と主演の「安斉かれん」、
そしてこのドラマの主人公のモデルである「浜崎あゆみ」を加えて比べてみましょう。

色々な要素が関わってくるので一概には言えませんが、非常に興味深いのが4月〜6月の「愛すべき人がいて」と「浜崎あゆみ」の検索数推移の連動感。
この「M 愛すべき人がいて」で最も影響を受けたのは主演の「安斉かれん」でも、怪演が話題になった「田中みな実」でもなく、
主人公のモデルである「浜崎あゆみ」であると言えるでしょう。
このドラマの本当の狙いは、「浜崎あゆみ」の復活だったのかもしれませんね。

話題がそれましたが、「M 愛すべき人がいて」とNetflixで配信され、
新語・流行語大賞にもノミネートされている「愛の不時着」を比べてみましょう。
ちなみに、「M 愛すべき人がいて」は地上波に加えて、
無料のAbemaでも配信され、「愛の不時着」は有料のサブスクリプションサービスであるNetflixで配信されています。

予想以上に「愛の不時着」が検索されていますね。
確かにこれでは「M 愛すべき人がいて」関連のキーワードが
ノミネートに入らなくて納得です。
では、「顔芸/恩返し」の「半沢直樹」を加えてみましょう。

コロナ禍で放映が伸びて実際に放映が開始されてからの「半沢直樹」の伸びが凄いことになっています。
今年のNo.1ドラマは「半沢直樹」と言われてもGoogleトレンド上でも納得の結果ですね。
地上波TVはオワコンとも言われていますが、まだまだメディアとしての力はあるようです。

では、今年のNo.1エンタメコンテンツ頂上決戦をGoogleトレンド上で行ってみましょう。

圧倒的に「鬼滅の刃」ですね。
「鬼滅の刃」の単体キーワードで期間を伸ばして、
調べてみると原作漫画自体が面白いと話題になっていましたが、
昨年放映のTVアニメ化で拍車がかかり、
今年の5月に原作漫画の最終回を迎えます。
検索の勢いが少し衰えましたが、
映画に向けて10月から再度検索数を伸ばし、
映画公開タイミングで最高潮を迎えます。
色々と記録を塗り替えている「鬼滅の刃」ですが、
この推移を見れば納得です。
ちなみに私は原作もTVアニメも映画も観てませんが。。。。

今回はGoogleトレンドで色々と脱線しながら調べてみましたが、
この作業は世の中の流れを掴むことと、
SEM(Search Engine Marketing)を行うのに非常に重要な作業の一つだと考えています。
SNSでの発言回数の推移などと組み合わせると起承転結が明確になったり、
より一層面白いのですが、一旦はSNS関連のツールは有料のモノが多いので、
手始めに無料で使えるGoogleトレンドに絞って色々と調べてみました。

次回からはSEMについて記していきたいと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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