SEM(Search Engine Marketing)の重要性 Part.2

前回はリスティング広告のキーワード選定や入稿時の注意点など記しましたが、今回はリスティングの限界と広告全体から考えた際のリスティングの立ち位置など考えていきたいと思います。

■リスティングの限界

さて、リスティング広告を掲載し、ある程度掲載を続けると成果に結びつくキーワードがある程度絞れてくると思います。成果に結びつきやすいキーワードの調整も重要ですが、それ以外のキーワードはどの様にすればよいでしょうか?獲得単価が目標より上回っている状況であれば、成果に結びつきやすいキーワードの調整や掛け合わせキーワードの精査を優先し、獲得単価を下げるように進めるべきですが、獲得単価が目標より下であれば、成果数を増やす方向に考えると思います。まずは、成果に結びつきやすいキーワードを広げようとするでしょう。掛け合わせのキーワードを色々と変えてみたり、よりディテールを深堀りするようなキーワードを追加したり、キーワードと連動したクリエイティブに変更したりするでしょう。ただ、それでも限界は来るでしょう。では、このような時にはどのように考えるべきでしょうか?

今の状況は成果に結びついたクリック、言い換えるのであれば、成果に直接結びついた最後のクリック「ラストクリック」のみを評価しています。基本的にはリスティングだけでなく、どのようなWeb広告でも成果に直接結びついたラストクリックのみを評価の対象にします。これは間違いではないのですが、ラストクリックのみでの評価で良いでしょうか?購買行動のファネルを想像していただければわかると思いますが、ファネルの下部の部分のみ広げても、ファネルの上部は広がらないのです。購買行動のファネルの上部以上に成果となる下部のファネルは広がることがないので、限界は来ると思います。

■ゴールゲッターとしてのリスティング

前回、「態度変容」について記しましたが、「態度変容」を促すようなキーワードをどのように評価するかで、ファネルの上部を広げることも可能になる場合もあります。「高速バス 大阪発 東京駅着 ○○交通バス」という例をあげましたが、一段階上の「高速バス 大阪発 東京駅着」で成果に誘導できれば、成果は数は増える可能性が上がりますが、「高速バス 大阪発 東京駅着」のリスティングの費用も上がる可能性も十分にあります。その為に色々と対応が必要になります。広告見出しや説明文の調整も必要になるでしょうし、遷移先のLPの最適化も重要になります。もし広告予算や獲得単価に余裕があるのであればチャレンジする価値はあるでしょう。

リスティング だけではありませんが、「態度変容」を促すような広告施策にどのように評価すべきなのか?その疑問に答えるのが「アトリビューション分析」です。簡単にいうとお客様の広告接触を加味して広告成果を評価するもので、例えば、初めてバナー広告を見てクリックして、2度目にYoutube広告を見てクリックせず、3度目にリスティング広告をクリックして成果に結びついたとしましょう。今まであれば評価の対象は成果に結びついたリスティングのクリックのみを評価するのですが、アトリビューション分析であれば、最初のバナー、2度目のYoutube広告も評価するというものです。サッカーで言えば、ゴールを決めた選手だけでなく、アシストを決めた選手、きっかけを作った選手もキチンと評価しましょうということです。アトリビューション分析を行うことにより、より成果に結び付けられる流入経路の発見であったり、広告費用の全体最適化など可能になります。ですが、評価の配分が非常に重要になり、それぞれの広告の評価の重みづけにより全体最適化を行うので、評価の付け方は慎重にするべきで、私は補完的にアトリビューション分析を実施しています。TVCMやラジオCMだけでなく動画広告を予約型広告で出稿した際も、アトリビューション分析を行い、全体最適化を行ってます。

■リストティングはブランド計測ツール?

購買行動で、最初に「認知」が来るケースが多く、この認知をどのように計測するか難しいですが、最もお手軽なのはリストティングと考えています。私がよく実施するのはブランドキーワードだけリスティングに出稿し、その表示回数の推移を追います。合わせて、アナリティクスでホームページの来訪者数と合わせて見ると色々と分析ができます。特に成果を直接追いにくいTVCMをはじめとするマスメディアへの出稿時や、インフルエンサーを起用した際には是非試して頂けると、レポートを待つことなく素早く分析が行え、次の施策の展開を考えることが可能になります。

■最後に

今回はリスティング広告に関して深掘りしましたが、リスティングと同じようにゴールゲッターになり得るのがSEOであったり、アシストを決めるコンテンツ連動型広告など、SEMの分野が重要かと理解していただいたと思います。SEMは「広告の受け皿」とよく言われますが、むしろ、ゴールゲッターであり、有能な攻撃陣なのです。どれだけブランド力をあげても、成果をあげないと意味はないのです。SEMはパターンを作ると安定してしまうので見落としがちになりますが、この機会に改めて見直してみましょう。逆にキチンと成果をあげられるSEMの体制を作るといろいろな手法での認知や興味喚起の目的としたプロモーションにチャレンジできます。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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