Clubhouseからみる音声メディアの再発見

ここ数日で一気に広まりつつある、音声版のTwitterと言われる「Clubhouse」。現在(2021年1月28日)はiOS(iPhoneやiPad)のみで招待制ですが、招待を受けたので入ってみました。
昨日、今日を聞き流している限りですが、ギーク、スタートアップ界隈の方々の込み入った話系や、雑談系のroom(掲示板でいうところ板)が立ち上がっています。あと、興味深いのが、TVやラジオなどのマスメディア系の方々が、この手の新規SNSにしては珍しく多いイメージです。やはり、音声メディアということで注目が高いのでしょうか。そんな注目の音声SNS「Clubhouse」をみてみたいと思います。

■そもそも「Clubhouse」って?

「Clubehouse」は音声でコミュニケーションを行うプラットフォームで、実際にコミュニケーションが行われているroomが表示され、気になるroomがあれば入って、モデレーターとスピーカー達の会話を聞いたり、質問できたりします。しかし、今のところ挙手して会話に参加する機能はありますが、「いいね」や「コメント」機能などのいわゆるよくあるSNSの機能だったり、アーカイブはありません。個人的には、いいねやコメントがなくアーカイブが残らないことで、モデレーターやスピーカーに余計なプレッシャーを与えず、自由な発言が促せているのかなと思います。また、アーカイブが残らないことで生で聞くしかなく、リスナーにプレミアム感を与えるでしょう。

これから様々な機能追加が期待されているClubhouseは、2回目の資金調達を行っており、Android版や投げ銭、チケット、サブスクリプションなどの開発を開始し、クリエイターの収益化、そして、Clubhouse自身の収益化を目指している様です。

使ってみた感想としては、映像がなく音声だけですので、音声自体がクリアで会話自体もタイムラグがなく自然な会話が展開されるので、いわゆるラジオ的でゆるゆると聞き流すにはいいですね。また、音声だけですので、通信量もそこまで圧迫しないと思います。ちょうど、ここ数日に一気に広まっているので、「多分、これ言っちゃいけないことなんじゃないかな〜」とか、生々しい愚痴とか「SNSの初期衝動」が頻発しているので、違った意味で面白いです。

■「Clubhouse」をどう活かす?

招待制でまだまだ局地的な「Clubhouse」ですが、既に有名人、著名人の参加もあり、ある一定の層までは広がるのじゃないかなと思いますし、Android版がリリースされれば、音声プラットフォームとして機能するでしょう。音声プラットフォームとしての「Clubhouse」をどの様に活かせるか考えてみましょう。

既に会社説明会が開かれているのですが、音声がクリアでタイムラグがなく自然な会話ができるので座談会に向いていると思います。「Clubhouse」自体にリスナーからのレスポンスがないので、レスポンスをTwitterに促し、モデレーターだけTwitterのレスを拾って、スピーカーはレスを気にせずモデレーターに促せるまま話せる環境がより深い座談会になるのかなと思います。実際に英語圏では座談会的に使われているようです。

また、room自体はオープン/ソーシャル(モデレーターがフォローしている人だけ聞ける)/クローズドが選択できるので、コミュニティを広げる場合は、オープンで公開し、コミュニティ内で深い話をする場合にはソーシャル、込み入った話をする場合にはクローズドで使い分けることによりコミュニティの形成にも使えるでしょう。

■他の音声メディアは?

「Clubhouse」以外にも音声メディアは沢山あります。それこそポッドキャストも音声メディアですし、コロナ禍で在宅時間が増え注目を浴びているradikoも音声メディアですし、ナレーターが本を読み上げてくれるAudiobookも音声メディアですね。他にもstand.fm、Voicy、Radiotalk。。。。国産、海外含めて多数あります。それこそ、ラジオも音声メディアですね。海外でもアメリカでポッドキャストの利用率が高いですが、日本でも海外でも音声メディアの見直しがはじまっています。それと並行的に音声広告の開発も進んでいますし、マネタイズの手段も今後増えます。まずは、メディアとしてビジネスが大きく伸びるか先行き不明ですが、新しいメディアに積極的に触れるようにしましょう。そこにいる人を観察するのもマーケティングですし、マネタイズ手法を考えるのもマーケティングだと考えており、マーケターの務めだと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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