D2C SNSを通じてのコミュニケーション

D2Cは、作り手、売り手と消費者が直接繋がる関係性が重要になります。消費者と繋がってファンになってもらうことで、商品の購入やリピーターになってくれるだけでなく、口コミでの拡散を期待できます。しかし、作り手と消費者がどのように繋がるのか?SNS上でのコミュニケーションの立ち振る舞いが重要になってきます。

 

■共感がシェアを生む

 

前々回にD2Cのメリットとして「作り手、売り手の考えや思想を消費者にダイレクトに伝えられる点」と記しましたが、実際にはどのような点が伝わりやすいのでしょうか?
まずは、作り手や売り手などが目指すブランドとしての独自で魅力的な世界観でしょうか。

世界観と聞くとファッションやデザインだけだと思われがちですが、それ以外の商品やサービスでも世界観は重要になります。世界観とはブランドの考えや思想が基になって展開されるものです。そして、その考えや思想が消費者自信が持つ理想の考えや思想の半歩から一歩先くらいを示すものであれば共感を得やすいと考えています。
また、その内容はチャリティであったり、社会貢献であったり、消費者の課題、不満、悩みを解消を手助けする商品やサービスであればその共感はより強くなるでしょう。

SNSが発達し、消費者自身が情報発信をしやすくなり、自分自身が「どのように魅せるか」、「どのように思われたいか」を無意識に意識する時代になりました。そして、SNSで情報発信を行う消費者にとって、「共感」はSNSでの「シェア」になるのです。そのシェアをきっかけに自分たちのブランドの考えや思想を知ってもらうことにより、新たな共感を得て、新たなシェアを産むのです。

その共感・シェアを繰り返すことによりフォローされ、本格的にそのブランドのファンになるのです。そのファンの中から、実際に商品を購入したり、サービスを利用してくれるファンが出てくれるでしょう。そんなファンはSNS上で購入報告やレビューという形で、情報の発信が行われます。

 

■ストーリーと中の人の存在感

 

SNSでの立ち振る舞いとブランドとしての世界観が重要というのが理解されたと思いますが、では、注意すべき点はどのようなことがあるでしょうか。まずはSNSの更新などの運用でしょうか。よくあるのですが、SNSアカウントを作ったのはいいが、更新するのが意外と手間になり、結局、新規投稿ができなくなるケースです。まずはSNS更新のために工数を調整したり、投稿するネタも意外とすぐ尽きるので、ある程度スケジュールなど取り決めておきましょう。

また、一方的に情報発信するだけではなく、ファンに問いかけコミュニケーションを促すような投稿も必要になります。では、どのような投稿が必要なのでしょうか?作り手の考えや思想を伝えるべきなのですが、熱量に任せても消費者には伝わりにくいケースが多いでしょう。まずは、なぜこのような商品やサービスが必要と考えたのか?具現化するための苦労や困難など消費者の共感を得られるような内容が良いのですが、今の消費者は敏感ですので、少しでも商売っ気が見えると覚めます。素直にありのままで人間味のある内容に共感が得られやすいと考えています。

作り手の顔が想像できるようなディテールを垣間見せる、もし可能であれば直接顔を出して、SNSで発信するのも一つの手だと思います。ただ、属人性が出てしまったり、もし何かあった時に集中攻撃を受けることも十分考えられるので、その辺りバランスを取りながら露出量などコントロールしましょう。

 

■コアなファンとのコミュニケーション

 

ファンとのコミュニケーションの深度を深めると、コアなファンが生まれてきます。このようなコアなファンが自然なインフルエンサーになってくれます。この商品やサービスを使って課題を解決したなど、SNSだけでなく、リアルなコミュニケーションでも語ってくれます。このようなコアなファンがある程度の数が集まるようでしたらイベントを開催するのも一つの手かもしれません。従来であれば、中の人との座談会であったり、新商品発表会に特別にご招待など、少しプレミアムな体験してもらえるようなことができたのですが、このご時世ですので、リアルでの接触は難しくなっています。ですので、ZOOMでのウェビナーなどが適当でしょうか。消費者にとって少しでも商品やサービスの内側を知れるような体験はプレミアムに感じられるのでオススメします。また、承認制や招待制のクローズドのコミュニティを新たに作るのもいいかもしれませんね。コアなファンのファンの醸成とは少し離れますが、今年の初めくらいのClubHouseの狂騒は招待制のプレミアム感が大きな要因だったでしょう。

このようにSNSの登場により、今までのコミュニケーションとは異なるコミュニケーションが必要になっています。その異なるコミュニケーションはストーリー性があったり、人間味があったりとマスでのコミュニケーションから先祖返りしたようなコミュニケーションに感じられるかもしれません。しかし、リアルだけのコミュニケーションだけではなく、Webを介することによりマスメディア以上の影響を与えられる可能性があります。その力を上手く使ったのが本来のD2Cだと言えるでしょう。この考え方で属人性を高めたのがP2Cと呼ばれる形式なのかもしれませんが、P2Cに関しては「有名モデル○○○○○がプロデュース」のような有名人タイアップを今風に言い換えただけのケースがありますので、この辺りは注意が必要でしょう。

 

■最後に

 

最後に、まだまだ続くと予測されるコロナ禍で先行きが不透明になる可能性が、まだまだあります。B2Bで取引先が固定されているような企業は、取引先の状況に左右され最悪取引が停止になるかもしれません。もしB2Cのビジネスが少しでも考えられるのであれば、今回のD2Cが実現できるような体制だけでも検討してみてはいかがでしょうか?保険としては心許ないかもしれませんが、何かのきっかけになるかもしれません。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

You May Also Like

More From Author