改めてPRについて考える Vol.1

前回、プロモーションとPRの違いをみましたが、
今回は改めて、PRについて考えてみたいと思います。


■「PR」と「広報」の違い

PRに近しい仕事として「広報」というのもあります。
PRは「Public Relations」の略と前回記しましたが、
広報を英訳しても「Public Relations」になり、同義になります。

とは言え、「PR」と「広報」少しニュアンスが異なるかなと思います。

前回のコラムにて、
『自社の製品・サービスの価値を顧客のみだけでなく大衆に知ってもらい、
 関係性を構築し、信頼・協力を強めようとする活動』と、記しました。
Webが発達するまでの時代において、情報を広く発信できる存在のメディアは、
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のいわゆる4マスに限られ、
それらのメディアに情報を提供し、
メディアを介して情報を広めるのが「広報」的な業務だったのですが、
Webが発達し、ソーシャルメディアなどを介して消費者自身が情報発信が可能になりましたが、
様々なコミュニケーション手段を用いて、
より複雑化した情報の流れをコントロールするのが「PR」的な業務と考えております。
ですので、「PR」の中の小分類が「広報」なのかなと思います。

■プレスリリース

PRとして目的として前回、「自社の製品・サービスの価値を顧客のみだけでなく大衆に知ってもらい、
関係性を構築し、信頼・協力を強めようとする活動になります。」としましたが、
こちらを詳しくみていこうと思います。

まずは「広く知ってもらう」ためのアクションですが、
個人的にはプレスリリースを書いて、各メディアへ配信することが基本なのかなと思います。
もっと言うと、プレスリリースを書くことにより、
伝えたい情報や、社会やユーザーにどのようなメリットがあるのか?を簡潔にまとめられると思います。

私がよくやっていたのは、仕様書からプレスリリースを書き起こし、
担当プロダクトのプロデューサーの意図と齟齬がないか確認し、
ディレクターとプロダクト内での表現を議論したりして、
プロダクト内でもプレスリリースでも、よりユーザーに伝わる表現をギャップなく伝えることに努めていました。

また、プレスリリースに関しては、細々としたテクニックを下記でまとめました。

■プレスリリースのあれこれ

今現在では、プレスリリースの記事校正であったり、
プレスリリース配信サービスや配信先の選定などでお手伝いさせて頂いてますが、
業界的な慣例などあったり興味深いです。
ですが、今はWebメディアがプレスリリースの掲載の初動の鍵を握ってますので、
Webメディアの記者さんやライターさんに合わせるのがベターです。

個人的な経験に基づくHow toとしまして。。。

・PDFではなく、ワードで制作し、コピペされたときにも表記の崩れを少なくする

 業界でパワーポイントで制作しPDF化した記事を配信しているところもありますが、
 PDFですとコピペの際に表記が崩れたりして、記者さんやライターさんの手間になります。
 また、パワーポイントで制作すると絵面の表現力に頼りがちになる傾向があります。
 文章でキチンと伝えられるようにワードで制作するのが良いでしょう。

・自社主体の文章ではなく、ユーザーにどんなメリットがあるか明確に

 新しい商品やサービスをリリースしました!だけでは、ニュースになりにくいです。
 メディアの読者にどのようなメリットがあるかを伝える必要があります。
 例えば、「課題に対して、この新商品でこう解決します」のようなニュアンスを含ませたり、
 読者さんが周りの方々に語れるようなコンテンツを準備することが大切です。

・メディアにもメリットを

 掲載するメディアにもメリットを感じられるようにできればいいですね。
 こちらは、プレスリリースに直接記載せずに、
 プレスリリース配信サービスを通して配信するのではなく、
 記者さんやライターさんに直接メールなどで送る場合に、
 メディアに掲載することで得られるメリットを提示しましょう。
 メディアが掲載することのメリットとして考えられるのは、
 PV数が増えることだと考えられます。
 ですが、PVを増やすためにどのようなことができるでしょうか?
 答えの一つとして、検索からのメディアへの流入を増やすことができるのではないでしょうか?
 例えば、季節やハイシーズンを感じさせる為に、検索数の推移のデータを提供したりしてました。
 
 とあるの業界の例ですが、掲載促進施策として、ノベルティの提供や、
 記事を制作した記者さんやライターさんにAmzonギフト券をプレゼントしたりしてました。

・速やかに素材提供できるように 

 実際にメディアに掲載してもらう際に、「素材が他にないの?」って時より要望されることもあります。
 素材をまとめたプレスキットを準備するのは当然ですが、
 他に使える素材をまとめて準備しておくのも良いでしょう。
 記事執筆前に記者さんやライターさんに内容をヒアリングできるのであれば、
 ヒアリング内容に沿った素材を提供できれば、より良い記事が期待できます。

■クリッピング

実際にプレスリリースを配信し、様々なメディアに取り上げられるかもしれませんが、
基本的にはプレスリリースの転載になるでしょう。
ですが、どの媒体に掲載されたのかを確認する必要があります。
この作業を「クリッピング」と言いますが、
目的として、効果測定になりますが、
同業他社との比較を行えば、自社の立ち位置がわかるのかなと思います。
自社の立ち位置を理解できれば、
次の打ち手も明確になり、戦略的に広報活動が可能になるでしょう。

■メディア対応

プレスリリースのリアクションとして、メディアから取材依頼を受けることもあるでしょう。
「有料で取材して掲載しますよ」的な営業も来ますが、一旦置いといて、
メディアから取材の依頼が来ましたら、掲載メディアや取材意図をヒアリングし、
社内やチーム内の調整を行います。
取材の意図によって、どのプレイヤーに取材対応させるかよく考える必要があります。
また、ノベルティなど取材に来られた記者さんやライターさんだけでなく、
メディアの読者さん向けにも提供できると良いでしょう。

もちろん、企業としてのブランディング施策など、
上記だけではないですが、
ここまでが、いわゆる「広報」的な立ち位置の守備範囲なのかなと思います。

では、「PR」となるとどうなるでしょうか?
次々回に「PR」を詳しく見ていこうと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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