Cocktail Story ~ バーテンダーの技術の優劣

introduction

 

 

 今回はバーテンダーの技術の優劣についてお話ししていきたいと思います。代償的な技術といえばシェークやステアですが、ゲストの目線では目の前のバーテンダーが技術的に優れているのかどうかはわかりません。そこでどの様な点を見れば目の前のバーテンダーが技術的に優れているのか、少し解説してみたいと思います。

シェークやステア

 

 この二つはバーテンダーなら必須と言える技術であると思います。もちろんバーと名のつく店舗は多く存在し、中にはステアやシェークとも縁がない店もあると思われますが今回はどちらも高頻度に使用する前提としましょう。この二つの技術に関しては見た目の印象では優劣がつけ難く、カクテルが美味しいから上手いそうで無いから下手という単純な物ではないと思います。重要なのは教えられたからこうしている、誰かがこの様にしていたから同じようにしていると言うのは問題外であると言う事です。修行中の期間にマスターの言いつけを守り、指導に従う事である程度までシェークやステアは上手くなるでしょう。しかしその段階を経て自身の解釈と理解を加えなければいつまでも他人の技術のままでは無いでしょうか。客としてバーに訪れた際、バーテンダーとの会話でシェークやステアの話になったならいくつかシンプルな質問をしてみると良いかもしれません。明確に自身の技術や理論を説明できるバーテンダーは総じて技術的に優れていると考えて良いと思います。

物の取り扱い

 

 上記の様な目に見えて技術と呼べるものはわかりやすいですが、そこだけが重要なわけではありません。例えばボトル一つに取り扱いにしても重要な点は多々存在します。手にとる所作からキャップの開け閉め、カウンターに置く際の音など様々な点に注目してみてください。例えシェークやステアが上手く見えても、ここに何らかの不快感を感じる点があっては全てが台無しになってしまいます。個人的に気を付けていたのは冷蔵庫の開け閉めです。バーはカウンター内に冷蔵庫を設置している店がほとんどかと思いますが、客が座っている方向へ扉が閉まるため雑に閉めると音だけでなく振動まで伝わってしまう事があります。比較的賑やかな店舗で有ればあまり気にする必要もないかとは思いますが、オーセンティックバーと位置付けられる店舗や自らそう名乗っている店舗なら最大限注意するポイントであると考えます。シェーカーやバースプーンだけでなく、店舗のいかなるものも全て雰囲気に合わせて使いこなすことが技術では無いでしょうか?

結局のところ技術とは?

 

 バーテンダーにとってカクテルやお酒を扱う上での技術は大変重要で、バーテンダーも客側もそちらに目が行きがちになります。提供するお酒に関わる部分ですから当然ではありますが、言い換えればそれは有って当たり前の事です。重要なのはバーテンダー自信が身を置く店舗の雰囲気やスタイルに自信を重ね、それらに沿った動きをすることだと考えます。いくらシェークやステアの練習に励もうと、自身の何気ない動き一つで雰囲気を壊していては意味がありません。

Ending

 バーテンダーの中にはやたらとプロや一流という言葉を使う方がおられますが、一体どれだけの方がそれらに該当するのでしょうか。些細な細かい失敗は誰にでもありますが、自らが立つカウンターの雰囲気を維持することに徹する事がバーテンダーにとって最も重要な技術かもしれません。バーテンダーの技術に優劣があるとすればこの点しかないかもしれません。


四ノ宮清十郎

若くしてバーの世界に飛び込む。
オーセンティックバーなどで修行を積み、独立。
現在は関西を中心に飲食コンサルタントとして活躍中。

You May Also Like

More From Author