Cocktail Story ~ オールドボトルの価値

introduction

 今回はオールドボトルの価値についての話題です。一般的に流通している物では無いのであまり馴染みのある言葉では無いかもしれませんが知っておくと一つバーでの楽しみが増えるかもしれません。

オールドボトルとは?

 まずオールドボトルについてですが簡単に言うと現行で販売されているお酒と同一の商品であるものの販売されていた時代が異なるもの、シンプルに古いものを指すと考えていただいて問題ありません。同一の商品で無くとも過去にしか販売されていなかったものも該当します。現在では厳しいですが15年くらい前なら小さな酒屋さんで普通に買えたりする事もありました。シンプルに売れ残っていたのでしょうか。私も過去にそうして入手した経験があります。同じ商品であっても作られた年代によって味が異なる場合がほとんどで、古いものを飲んでいるのに新たな発見をするという面白い体験ができます。ウイスキーなどの多数の原種をブレンドして作られるお酒の場合は販売時期によって中身のお酒が違うもののブレンダーの方の技術によって同一のクオリティーに仕上げられていますが、ラベルやボトルデザインが大きく変わるタイミングなどで少しわかりやすい変化があるのではと個人的に推測しています。そのような変更があった際の過去デザインになったものもオールドボトルとして扱われる事がありますが何年以上前に流通していたものなどと言う括りは無く、曖昧ではあります。

オールドボトルは本当に味が違うのか?

 

 結論を先に申しますとかなり違います。しかしここには製造(ボトルに詰められてから)されてから現在に至るまでの保管状況なども大きく影響します。よって現在販売されているものと比較の仕様が無いのも事実です。タイムマシンでもあれば時代ごとの商品をそれぞれ購入し飲み比べることも可能ですが、こればかりはどう足掻いても叶わない夢のような話ですね。特にウイスキーなど蒸留酒は瓶内熟成するのかしないのかの点もあり現在のものと比べて優劣をつけるような物ではないと個人的には思います。ただ比較的変化が少ないであろう糖度の高いリキュールなどは露骨に味が違う事もあり大変面白いです、味どころか濃厚さが段違いで現行品もこれだったらいいのにと思った事もあります。年代が古ければ古いほど味に変化を感じますが、時間という人間にはどうしようもない要素が大きく関わっているため当時のアイテムをタイムリーに飲んでいた場合であっても思い出補正がかかっていたりします。もどかしいですね。

オールドボトルの価値、価格

 やはり気になるのが価値と値段ですね。ここに関してはアイテムによって明確に差が生まれます。やはりメジャーで人気の商品は総じて高価な場合が多いです、シングルモルトになるとどれも非常に高価でとても手が出ません。しかし中にはバーテンダーでも知らないマイナーなアイテムもあり、その様なものは現行の商品よりも安価に入手できることもあります。しかしその様な場合はあまり中身のクオリティに期待はしない方が良いかと。またバーでバックバーに明らかに年代の違うボトルが並んでいる事がありますがオーダーしてみようと思われた際はしっかりと価格を確認してください。仕入れ値が高ければもちろん価格は上がりますし、そうで無くても価値が高騰すれば同様に価格は上がります。メニューにも記載がないパターンがほとんどのはずなので慎重に判断してください。

Ending

 今回はオールドボトルについての簡単な解説になりましたが、意外と皆さんのご自宅やご実家などに眠っている事があります。洋酒好きなご親族がいらしたりすると確率はぐんと跳ね上がります、一度確かめて見られるのもありではないでしょうか?


四ノ宮清十郎

若くしてバーの世界に飛び込む。
オーセンティックバーなどで修行を積み、独立。
現在は関西を中心に飲食コンサルタントとして活躍中。

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