KPI改善の実例 スマホゲームの場合 その1

■KPIとKGIのおさらい

KGI(Key Goal Indicator)は、重要目標達成指標と呼ばれ、ビジネスの最終目標を定量的に評価する指標になります。

例えば、売上であったり利益額、利益率、営業部門でしたら、成約件数など当てはまります。
同様に、KPI(Key Performance Indicator)は、重要業績評価指標と呼ばれます。

上記のKGIを達成するための各プロセスを定量的に評価するための指標になります。

そして、KGIを頂点に要素分解し、KPIの因果関係を記したものがKPIツリーになります。

今回はスマホゲームを例にKGI達成の為に必要なKPIの改善に関して、掘り下げていければと思います。

■KPIにも順序がある

KGI未達のプロダクトにおいて、未達のKPIが複数ある場合、どのKPI改善から進めるべきか悩ましいですね。

全ての改善を一度に進められればいいのですが、そんな環境がある訳でもないですし、

また、KGIが達成していても、本当にKPI改善に繋がっているのか分からなくなるケースもあります。

時間はかかりますが、一つづつ課題を解決を進めた方が、まずは正しいかと思います。

特にリリース直後は、どの様にKPIが連動しているのか分からないからです。

例えば、継続数、継続率の施策を課金周りの施策を同時に進めたとしましょう。

課金周りの施策は、時にはお客様に対して、圧力になりかねない場合も多々あり、継続数、継続率に影響を及ぼす可能性があります。

一度にKPIの改善を進めると、本当は継続数、継続率の施策が効果的な施策なのに、

課金周りの施策が継続数、継続率の施策を足を引っ張り、結局、相殺され施策の評価がし難い状況も十分にあり得ます。

また、課金周りの施策を進めてもお客様の数が少なければ、売上のインパクトも少ないですし、

継続率が低い状態で続けているお客様=コアなお客様と仮定した場合、コアなお客様に刺さる課金施策は見つかるかもしれませんが、

プロダクトのことを知らないお客様に刺さる施策である可能性は低いでしょう。

ですので、まずは継続率、継続数を伸ばす施策を考えましょう。

例えば、毎日1,000DL、課金率2%、ARPPU/日を500円、現状の継続率が14日が8%、30日が7%だったとしましょう。

よくあるスマホゲームの場合、継続率が14日後を25%、30日後が20%だったとしましょう。
当月にアプリをダウンロード(DL)されたお客様のディリーのアクティブユーザー数(DAU)は現状だと1ヶ月でDAUの積上げは3,677ですが、

継続率が目標値に達した場合、DAUが9,030と大凡2.46倍の差となります。


収益的には当月のDLされたお客様の売上が、現状だと約77万円、継続率が目標値に達した場合168万円と大凡2.19倍の差が出ます。


これはあくまでも当月にDLされたお客様のみの売上なので、これが積み重なれば大きな差になりますので、

目先の課金率ではなく、まずは継続率を注視していただく必要があります。

ですので、KPIの順序としてはDAUを優先に進めるべきでしょうと言い切れる訳です。
DAUがある程度目標数字に達する事が見えてきて、ようやく課金施策を行うべきだと思います。

■KPI改善の実例

では、実経験を元にここから進めていこうと思います。以前、マーケティングのコンサルとしてお手伝いしたスマホゲームですが、

昔からあるIP(知的財産 / Intellectual Property)モノだったのですが、とにかく継続率が悪い。
ですが、ディレクター含め上位レイヤーは課金率の話しかしてない。

とりあえず、頭数を揃えないとダメですよと継続率の説明をし、継続率の改善が出来るまではプロモーションの停止を提案しました。

そして、ディレクターから改善案すべきポイントを提示してくれと依頼がありました。
まず、どこがボトルネックになっているのかを炙り出すために、DL日を基準にした日毎の継続率に加え、名前登録数、

チュートリアル突破数、各チェックポイントの通過数などを抽出し、翌日継続率が著しく悪く、チュートリアルの突破がボトルネックと推定。

チュートリアル内でボトルネックとなる箇所を特定すべきために、改めてDLをしなおし、再度チュートリアルからゲームを進めました。


次回は具体的な改善点をピックアップします。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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