SEM(Search Engine Marketing)の重要性 Part.1

前回は、Googleトレンドを使って、キーワードの検索数の推移などの調べ方をまとめてみましたが、検索はまだまだ重要な指標であり、手段であると考えています。
数多くの購買行動モデルの中にも、Search(検索)は入ってますし、コンバージョンに直接繋がるラストクリックも検索からの流入が多いと思います。検索は、興味をもった消費者=コンバージョンに繋がる可能性の高い消費者にアプローチでき、色々と比較検討の上、購入したい消費者にアプローチできる手段、言い換えれば刈り取りのための広告手段になるのです。このSearchを攻略するためにも、SEM(Search Engine Marketing/検索エンジンマーケティング)について学んでいきましょう。

■二つのSEM

SEMというと大きく「広義のSEM」、「狭義のSEM」に分けられます。「狭義のSEM」とはリスティング広告、検索連動型広告やコンテンツ連動型広告が当てはまります。そして、「広義のSEM」は狭義のSEMに加えて、SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)を加えた形になります。特に新人さんはこの辺を分別がついてない方もいらっしゃるので、SEOを含めて話しているのか?リスティング広告の話をしたいのか?検索連動型広告だけの話をしたいのか?と分からなくなる場合もあります。

SEMの実施を検討した際に、実施の順序は、狭義のSEM、リスティング広告からスタートさせるのがよいでしょう。特に新規事業の場合は、シーズン毎の検索推移の増減や、成果に結びつきやすいキーワードの抽出、テキストクリエイティブのみではじめられるメリットがありますが、自分たちの手で進められ、小ロットで実施できるのが、意外と学びが多くお薦めします。広告予算が多く、キーワードが多いと運用にも手間が掛かるので、そのような状況になれば代理店さんにお願いするべきですが、50万円/月くらいであれば、自分たちで運用した方が良いと考えています。

話が少し外れましたが、まずはリスティング広告であたりをつけて、コンテンツ連動型広告に展開する流れがベターだと考えています。SEOは対策が重要になり、準備に時間が掛かりますし、まず、キーワード対策をするにも成果に結びつくキーワードは不明確な状態では、手の出しようがありません。リスティング広告で成果に結びつきやすいキーワードを炙り出してから、SEOにおけるキーワード対策を行いましょう。

■リスティングのキーワード選定

キーワード選定を行う前に、数多くのキーワードが必要になります。数多くのキーワードを作るためには、まずは軸となるキーワードを決めましょう。軸となるキーワードが決まりましたら、Googleの「キーワードプランナー」を用いて、広告を表示させるためのキーワードの候補が出てきます。キーワードの候補の中から不適切なキーワード、具体的にはネガティブなキーワードを外しましょう。また、検索の際に表示されるサジェストキーワード、スマホで検索される事を想定するのであれば打ち間違いなどのキーワードを追加しましょう。

この時点で数多くのキーワードが出来たと思いますが、グルーピングをして整理をしましょう。ここで鍵になるのが「態度変容」になります。例えば、あなたが夕方に急遽、明日午前に行われる会議の出席するために東京出張になったとしましょう。その様な状況になれば、まずは交通手段を調べると思います。公共交通機関であれば、飛行機、新幹線、電車、高速バスでしょうか。その状況に応じて選択を行うのですが、この選択が「態度変容」になります。「態度変容」は抽象的な事柄から具体的な事柄に進んでいくために起きる大きな変化・選択のポイントになり、ここにアプローチすることにより、こちらへ誘導する期待が増えます。今回の場合、移動の発生→移動手段の選定⇄条件との照合→移動手段の決定と大きく分ける事が可能になり、移動の発生、移動手段の選定、条件との照合、移動手段の決定のそれぞれの状況に合わせてキーワードを割り振ります。そうすると自ずと発生に当てはまるキーワードは大まかなキーワードになり、選定、照合、決定と態度変容を繰り返すと具体的なキーワードになっていきます。ここで発生に当てはまるキーワードは「ビッグワード」、決定に当てはまるキーワードは「スモールワード」と呼ばれます。今回の場合は、飛行機、新幹線、電車、高速バスがビッグワードに当てはまり、それぞれにキーワードを掛け合わせて、より具体化して、「高速バス 大阪発 東京駅着 ○○交通バス」まで検索させれば、成果に結びつく可能性は非常に高いでしょう。グルーピングができましたら、改めてキーワードの精査を行い、不適切なキーワードの削除、グルーピングの微調整など行いましょう。

■小さなキーワードからコツコツと

キーワードの成果やグルーピングが完了したら、実際にキーワードを登録するのですが、初めての広告掲載であれば、掲載開始の順序として、スモールワードからはじめるのが正解でしょう。いきなりビッグワードを入れて、想定より早い時間に消化されても困りますからね。小さくスタートさせて、成果を確認しつつ、徐々にキーワードを広げていくのが正しいでしょう。ここで注意すべきなのは、キーワードのマッチタイプですが、単語の場合は「完全一致」、掛け合わせキーワードの場合は「絞り込み部分一致」か「フレーズ一致」にしましょう。単語の場合、基本的にはビッグワードの部類に入ると思いますので、部分一致やフレーズ一致では必要以上の費用がかかる可能性が高くなりますのでご注意ください。

さて、実際の運用フェーズになりますが、見落としがちになるのは、検索クエリーから検索キーワードが追加できていない事が多いです。そもそも、検索キーワードと検索クエリーの違いを考えますと、検索キーワードは「登録した言葉」で、検索クエリーは「実際に検索された言葉」になります。ここのギャップは意外と見落としがちになりますし、鍵となるキーワードが見つかる場合も有りますので注意しましょう。

また、一定期間計測すると成果に結びつくキーワードが浮かび上がってくると思います。こちらのキーワードを元にSEO対策をおこうと、効率的に広義のSEMの対策になるでしょう。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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