2024年のマーケティング

 昨年はChatGPTなどのAIの躍進や、TwitterからXとなって混乱を引き起こしたり、マーケティングでも様々な事柄が起きました。個人的にはXへの広告出稿やユーザーとのコミュニケーションが難しくなったイメージで、新たな出稿先やコミュニケーションの場をを探す一年だったと思います。

 さて、1ヶ月過ぎましたが、2024年はマーケティングはどの様になるでしょうか?ちょっと考えてみたいと思います。

■AIの躍進

 昨年もChatGPTに関する記事を書きましたが、2024年は様々な分野でAI化進み、より一層躍進すると思われます。昨年末に皆さんがよく使っているだろうMicrosoft 365に、Microsoft 365 Copilotがツールとして統合され、Wordをはじめ、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどのアプリケーションと連携し、AI技術を駆使してさまざまな作業をサポートしてくれます。例えば、生成AIに短い指示を出すだけで、体裁の整った綺麗な書類や資料を作成することが可能になるでしょう。

 マーケティングでも、資料作成以外にも、リサーチであったりクリエイティブ制作のアイデア出しなど、様々な形で活用されるでしょうし、広告運用もより自動化され、より一層深いマーケティング活動に勤しめるでしょう。

■タッチポイントの増加と取捨選択

1.リテールメディアの増加

 昨年くらいから、「リテールメディア」という言葉を聞く機会がかなり増えたと思います。 コロナ禍により、ECの強化であったり、小売業でのIT技術の導入によるリテールテックの発達と、サードパーティクッキーの規制が強まるのを受け、リテールメディアの注目度が高まっています。

 リテールメディアは小売企業が自社で収集した顧客データ(ファーストパーティデータ)を元に、広告配信を行うのですが、広告主は小売業者が持つ顧客データを元に効率的な広告配信が行え、より精度の高い新規顧客開拓やブランディングを行うことができ、ユーザーにとっても自分の興味関心に近しい商品情報が提供され、メディア=小売業者は新たな収入源を確立することができるでしょう。

 この様に書くと、Webサイトのことだけでしょと思われがちですが、ECサイトのみならず、リアル店舗のデジタルサイネージも含むます。例えば、コンビニでは以前からレジのディスプレイの大型化が進んでおり、ファミリーマートではレジ上に大きなディスプレイの設置が進んでいます。イオンなどのスーパーでも、色々な場所にデジタルサイネージが置かれていますし、オンライン、オフライン織り混ぜ、様々な形でリテールメディアとの接触機会が増えるでしょう。

 アメリカでは、検索、SNSに続く、デジタル広告の第3の柱として期待されています。今までの、DSPなどのアドネットワークはサードパーティデータの制限、検索も検索でSEOのサジェスト汚染に加えスパム汚染、SNSも様々な側面で不安を抱える中、日本でもリテールメディアの重要度は大きくなるでしょう。

2.SEOの有用性の低下

 以前から検索におけるサジェスト汚染はよく言われていました。サジェスト汚染とは特定のキーワードを検索した際に、予測変換としてサジェストワードがネガティブなイメージを与えるワードが表示されてしまうことです。それに加えて、アフィリエイトサイトの増加と信用度の低下によるスパム化で、ユーザーにとって本当に必要な情報に到達できず、SEOの有用性の低下が叫ばれています。

 ここまでは以前から言われていましたが、AIを使用したスパムサイトの増加で良心的なコンテンツとスパムサイトの境界が曖昧になり、より一層SEOの有用性の低下に拍車がかかるでしょう。

 対抗するように、各検索エンジンもAIを用いた要約を表示していますが、こちらもいつの日かハッキングされるかもしれません。

3.先行き不明確なSNS

 Twitterがイーロン・マスクに一昨年買収され、昨年名称がXに変わり、色々な機能が停止になり、ユーザーが離れ、Metaが代替となるThreadsをリリースするも、まだまだ機能的に弱く、ユーザーが定着しきっていないなど、風景が徐々に変わりつつあるSNS界隈。

 特に日本においては、Xは広告出稿のメディアというだけではなく、コミュニケーションの場として使われていただけに、大なり小なり影響があったコミュニティは多々あったと思います。

 また、メタバースも、結局、日本と韓国だけ盛り上がっていると話は聞きますし、TikTokもなんだかんだ言って、不安が過ります。今年もSNSの動向に注視が必要になるかもしれません。

 今後、一旦、SNSは細分化されるのではないかなと、個人的考えています。そのSNSの軸になるのは文化と個人になるのかなと。

 文化は、その文化が持つ特性を活かせるSNSが実際に伸びていますし、個人は、その文化の特性を活かして活躍する人、いわゆるインフルエンサーが使うSNSが、より伸びるでしょうね。

 で、マーケティングとしては、今まで以上にインフルエンサーを起用するケースも増えるでしょうし、インフルエンサーを通じて、新たなコミュニティ形成を行う必要があるかなと思います。

 上記の3つだけではないですが、日々マーケティング手法は変化していきます。今までオンラインで行っていた様な広告出稿が、オフラインでもでき、SEO対策も様変わりするかもしれません。そして、SNSとの関わりも変わるでしょう。

 そのSNSでの関わりの中で、コミュニティのあり方が変わったり、Web3化だったりするのが、2024年なのかなと考えています。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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