リテールメディアの基礎

「2024年のマーケティング」で取り上げました、「リテールメディア」。
私自身、取り扱いが少ないメディアでチェックが薄かったのですが、
昨年半ばから、色々な取り組みで使えるのでは?と考え、
調べてみると、低予算のクライアントでも出稿できそうな金額感でしたので、
改めて、掘り下げてみたいと思います。

■改めて、リテールメデイアとは?

リテールメディアとは、小売事業者が保有するメディアの総称になります。
小売事業者が運営するECサイトやアプリ、店舗内のサイネージなどがリテールメディアと呼ばれ、
小売事業者が自社で保有する消費者の購買データなどを活用して広告を効果的に配信する仕組みになります。
リテールメディアは、従来の広告配信とは異なり、実際の購買行動から獲得した顧客データをマーケティングに応用するため、
確度の高いプロモーションやターゲティングが期待できます。

それではなぜリテールメディアが注目されているのでしょうか?
まずは、3rd Party Cookieの規制やメディアのあり方の変化や、
データの取り扱いやテクノロジーの進化に伴う、昨今の潮流が大きいと思います。
以前から言われていましたが、Googleが自社ブラウザであるChromeにて、
3rd Party Cookieを段階的に無効化しています。
まずは、その代替手段として、
1st Party Cookieを取り扱えるリテールメディアが注目されています。

また、AIカメラやビーコンをはじめとする、
ユーザーの動きを分析することや、
スマホでのコミュニケーションを可能にするようなソリューションが揃いつつあることですね。
AIカメラは以前から交通広告のデジタルサイネージなどで使われていましたが、
データの蓄積や精度そのものが上がってきていたり、
ビーコンも色々な店舗のアプリが普及し、活用事例が増えてきたと思います。

店舗側もコロナ禍もあって、デジタルシフトが進み、
単純な「モノの販売」だけでは収益の確保が難しくなっているのものあるでしょう。

個人的には、消費者にWeb広告が嫌われすぎている感があり、
最初のアプローチには向いていないとマーケターに思われてるのかなと考えています。
役割的には、認知ではなく、刈取り的な立ち位置になるのかなと。

■どうすれば利用できる?

「どうすれば利用できる?」と見出しにしましたが、出稿側、掲載側と両サイドありますが、
まずは、出稿側の話を。

私の場合ですが、とあるクライアントさんが、今まで通販メインだったが、
補完的に店舗を出店することになりました。
通販のお客さんである程度、集客は見込めるが、
観光地の近くなので、観光客の方にも来て頂きたいと考えているが、
何かいい手立てがないかと相談されました。

もちろん、Web広告でも可能ですが、他に何か手段がないかなと考えていた時に、
とあるニュースが引っかかりました。

広告プラットフォーム事業の本格展開に関するお知らせ
すべてのパートナーに”コミット”する新事業「chocoZAP Partners」2024年2月13日 本格開始!

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000210.000030866.html

chocoZAPさんに直接出稿する訳ではないですが、
リテールメディアという選択肢はアリなのかなと。

今までは、どちらかと言うと大きなメーカーさんが出稿するイメージで、
掲載面も売り場に直結しているイメージでしたが、
売り場に直結させなくても、タッチポイントとしてのリテールメディアを考えることができました。

さらに調べると、とあるコンビニのデジタルサイネージは都道府県レベルでセグメントが切れたりと、
小規模の出稿が全然可能だと分かりました。

今後はもっと1st Party Dat/Cookieを用いた広告メディアが増え、
より細かいセグメントをターゲティングできるような広告掲載面も増えるでしょうし、
chocoZAPさんの様にサンプリングなど広告配信のみで終わらない広告商材も増えるのではないかなと思います。

続いて、掲載面側の話。

1st Party Dat/Cookieをどの様に収集して、1st Party Dat/Cookieを蓄積し、使える状態にしないといけません。

まずは、収集方法の前に蓄積する方法ですが、やはり、ツールの導入が必要になります。
思いつくのは、CDP(Customer Data Platform、カスタマーデータプラットフォーム)、DMP(Data Management Platform、データマネジメントプラットフォーム)、
CRM(Customer Relationship Management、カスタマーリレーションシップマネジメント)になるのかなと思いますが、
メインになる営業手法などで変わってくるのかなと思います。

1st Party Dat/Cookieの蓄積方法が決まれば、1st Party Dat/Cookieをどの様に収集となりますが、
オンライン上であれば、ウェブサイト内に設置したタグによる行動の追跡であったり、
資料請求などのフォームによる収集、問い合わせなどのメールやSNS、チャットのやりとりを通じた収集が可能です。
オフラインであれば、名刺交換はもちろん、展示会やセミナーでのアンケート、
実店舗の場合、オンラインでのWebサイトであったり、店舗アプリなどあれば良いですが、
会員証をの発行、言い換えると顧客をユニークに認識できるIDの発行が重要になります。
オフラインのデータをデジタル化して把握可能になれば、まず、第一歩かなと思います。

もちろん、規模感によりますが、顧客の情報を整理する事により、
出稿クライアントが広告出稿しやすくなる事が期待できます。

この様に、リテールメディアの広がりにより、以前と比べ、より身近になるのかなと思います。
今までのマス中心とした「広く知ってもらう」ことから、
「知ってもらうべき人に知ってもらう」ことが重要になるでしょうね。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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