FAQをマーケティング的に考えてみる

色々とマーケティングのお手伝いをさせていただく中で、カスタマーサポート、カスタマーサクセス、カスタマーサティスファクション・・・・いわゆるCSの課題にぶつかります。社内で構築したり、ある程度の規模感になると外注化するケースもありますが、どちらにしてもコストが膨大化する傾向があります。そのCSコストの膨大化を防ぐ手段の一つとして、FAQ(Frequently Asked Questions)活用がよく取り上げられます。ですが、活用方法次第では、様々な効果が期待できます。今回はFAQを掘り下げて考えてみたいと思います。

■FAQの目的

FAQはそもそもカスタマーサポートでよく対応する内容をコンテンツ化することによりカスタマーサポートの作業負担を減らすことが主たる目的で掲載されると思います。しかし、「カスタマーサポートの作業負担軽減」の機能だけでなく、商品購入やサービス導入までのプロセスを短縮させることや、透明性を確保することによりブランド構築し、競合との優れている点を明記することにより差別化が狙え、事例や課題解決のためのコンテンツを掲載することによりLTVの向上や、様々なキーワードを網羅することにより、SEOの効果が期待できますし、より多くのキーワードが検索対象になり流入数の増加も期待できます。

■掲載すべきコンテンツ内容

では、FAQに掲載すべきコンテンツは、どのような内容であるべきでしょうか。まずは、CSへの問い合わせはマストになります。ただ、そのまま掲載するのではなく、キチンと何を求めて問い合わせがきたのかを正確に把握し、明確で簡潔に制作しましょう。
また、無闇にコンテンツを制作するのはなく、SEOの効果を意識しましょう。例えば、検索のサジェストであったり、TwitterなどのSNSでの議論など出来る限りのツールを利用し、オーガニック検索での流入を考えてましょう。
そして、購買行動のフレームワークに合わせた形でコンテンツ内容を決めていきましょう。

機器の操作方法など文章で伝わりにくい内容の場合、図解や動画など積極的に用いましょう。凝った図解や動画でなくてシンプルなクリエイティブで問題なく、スマートフォンで撮影した動画で、無料の動画編集を行った素材でも問題ないです。とにかく、商品やサービスの理解を深めてエンゲージメントを高めましょう。

■FAQスキーマで流入を増やす

しっかりしたFAQを掲載し、FAQをSEO的な効果を期待するのであれば、是非ともFAQスキーマを実装して下さい。GoogleではQ&Aコンテンツに対応したFAQスキーマを用意しており、FAQスキーマの構造化データに対応し、所定のマークアップすることによりGoogleの検索結果に反映されます。もしCMSとしてWordPressを使用しているのであれば、プラグインも用意されています。

また、こちらの手順で対応すれば、強調スペニットにも対応しているので、検索結果で目立つ表示で掲載されます。

■FAQ自体が一つのカスタマージャーニー

FAQを眺めるとカスタマージャーニーになっていることに気づくでしょう。カスタマージャーニーに沿った形でサイト内リンクを張り巡らせば、初歩的な疑問から様々な情報を提供でき、コンバージョンに導くことが可能でしょう。また、SEO的な効果も期待できるでしょう。ここで気をつけるべきなのは、FAQにたどり着くユーザーは、商品購入やサービス導入を検討している層と既に商品購入やサービスを導入した層に大きく分ければ2パターンに分けられると思います。その二つの層が同じカスタマージャーニーを辿らせるのはお門違いですので、複数のカスタマージャーニーを意識してサイト内リンクを張りましょう。

偏にFAQと言っても単なる「よくある質問」で終わらすのはもったいないと思います。より戦略的にFAQを作ることができれば、マーケティングツールになります。優先順位は低いかもしれませんが、頭の片隅にFAQはマーケティングに使えることを置いていただければと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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