D2C / ECプラットフォームの選択

前回に引き続き、『D2C』に関して掘り下げてみたいと思いますが、前回は「D2Cってそもそもなに?」というのを掘り下げつつ、D2Cならではでのメリットなど見ていきましたが、今回はD2Cを支える「ECプラットフォーム」について見ていこうと思います。

■D2Cを支えるECサイトプラットフォーム

さて、みなさんがECを始める場合どの様にしますでしょうか?まずはECサイトを立ち上げることを考えると思います。ひと口にECサイトの立ち上げといっても方法は様々あり、ECサイトのベースとなるプラットフォームにも色々な種類があり、それぞれの特徴があります。それぞれの特徴を把握し、ブランドの状況に合わせてECサイトプラットフォームを選択する必要があります。

・ECモール


複数のECサイトが大きなサイトに集まっているのがECサイトになります。
Amazonを筆頭に、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの総合的なモールであったり、ZOZOなどの専門特化型のモールなどがあります。ECモールの中でも大きく形が2種類に分けられます。

一つはマーケットプレイス型と呼ばれる形式。企業やショップなどの出店者は商品の画像や説明文(ディスクリプション)のみをアップロードすれば掲載が可能です。アップロードした商品の画像や説明文をテンプレートに当てはめ掲載され、受注管理などはECモール側が行ってくれるため、出店者側の労力は少なく、Amazonの場合ですと契約形式によりますが、商品もAmazon側に納入し受注管理・決済・商品発送を丸投げすることも可能です。

もう一つがテナント型と呼ばれる形式。こちらはテンプレートのECサイトを構築して、まさにショッピングモールに出店するようなイメージなります。マーケットプレイス型と比べ商品だけではなく出店者ごとにECサイトの特徴を出せるますが、その分、ECサイトの運用は出店者の負担となります。

ECモールの特徴としては他種のECサイトプラットフォームより、短期間で安価でECが可能になります。また集客もECモール側が行うので、プロモーションコストも最低限で抑えることも可能ですが、マーケティング的な情報や決済などはECモールが握っていますので、その点の旨味は少ないですね。

・ショッピングカートASP/ECサイトパッケージ/クラウドEC


D2Cをイメージすると、こだわりであったり、嗜好性などが挙げられると思いますが、その色はECモールでは発揮できないでしょうし、価格競争に埋もれてしまう可能性もあります。
やはり、自分たちの色を全面に出せる自社のECサイトを立ち上げたいと考えるでしょう。しかし、自前で作るには制作費用やランニングコストが掛かり、立ち上げタイミングでは非常にリスクが高いです。そこで比較的費用を抑えられるECサイトの構築方法として、ショッピングカートASPが挙げられます。クラウド上でECサイトを構築していくため、サーバーを用意する必要もなく、短期間で構築可能で手軽にECサイトを立ち上げることが可能です。また、「BASE」や「STORES」などの無料のショッピングカートASPもあり、やれることは限られますが、様々なコスト負担を抑えて、例えば、趣味で作ったハンドメイドの一点ものなど販売することも可能です。また、「Shopify」のような海外のショッピングカートASPで海外へ市場を広げることも可能になりました。

ECサイトパッケージは商品管理やCRMなどECサイトの運営に必要な機能を持ったECプラットフォームになります。もちろん、多機能な分、制作や運営のコストが跳ね上がります。また、ショッピングカートASPとECサイトパッケージの中間的な機能のクラウドECもあります。ここまで来ると大規模ECサイト構築になるでしょう。

・オープンソース/フルスクラッチ


オープンソースやフルスクラッチでのECサイトの構築は、厳密に見ればECサイトプラットフォームとはかけ離れますが、こちらで一緒に紹介させて頂きます。こちらは自社に開発者がいるケースでないと難しい手法になり、1からECサイトを構築します。オープンソースは既にできあがっているソースコードを寄せ集めて作る手法、フルスクラッチは既存のシステムやソフトウェアを使わずにECサイトを構築する手法になります。共にカスタマイズ性が高く、自分たちのこだわりなどを貫き通せますが、ECサイトの構築まで非常に時間がかかり、専門的な人材も必要になり、コストも割高になってしまいます。

■D2Cに最適なECプラットフォームとは?

D2CはどのプラットフォームでECサイトを構築するのが良いのでしょうか?正直なところD2Cとしての戦略次第になりますが、まずはショッピングカートASPでの構築が正解だと考えています。ブランドとしての特色を確立させたいでしょうが、ブランドの立ち上げ期なのでコストもそう掛けられないでしょう。逆にコストの掛からないという理由でECモールに出店しても、今度は必要以上に価格競争の波に揉まれると考えられます。ですので、ある程度、ブランドが確立されるまでは、ショッピングカートASPで構築されたECサイトで問題ないと考えます。

ブランドとして確立され、特色が出てきたならば次のステップに進んでもいいかもしれません。例えば、販売窓口を増やしたいのであればECモールに出店しても、ブランドが確立されていれば、必要以上に価格競争にも揉まれないでしょうし、規模感を求めるのであれば、ECサイトパッケージやオープンソースでの構築もありかもしれませんね。

しかし、ショッピングカートASPも多機能になっており、有名ブランドのECサイトがショッピングカートで構築されているケースもありますので、まさに戦略的に考える必要があるでしょう。

次回はコミュニケーションとしての「SNSの活用」を見ていきたいと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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