今回はジンフィズについて思うことを色々書いていこうと思います。
○○フィズと言うカクテルが強く印象に残っておられる世代の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ジンフィズを例に挙げますが、このカクテルはバーテンダーの技術の全てを使用するカクテルと言われています。
それがどう言う意味なのかと言う説明とともに、そこに散りばめられた小さな落とし穴についても解説したいと思います。
美味しく作るためにと思っての事が意外と足を引っ張ってしまうことも有る、大変難しいカクテルとなっています。
Table of Contents
ジンフィズ Gin fizz
introduction
まずジンフィズに用いる技術に関して話を進めようと思います。
大きく3つに分けると、シェークと少しのステアに加え炭酸の取り扱いがあります。
フィズと名のつくカクテルに共通する作り方になります。
まずジンとレモンジュースに砂糖を加えシェーク、グラスに注ぎ氷を入れます。
その後炭酸を注ぎ、軽くステアして完成というのが一連の流れになります。
シェークした材料を炭酸で割ると言うイメージになると思いますが、ここが第一の落とし穴になっています。
this volume
シェークした材料を炭酸で割るとどのような事が起こるでしょうか?
皆様お気づきとは思いますが、答えは非常にシンプルです。
単純に薄くなります。
ジンとレモンに砂糖と言う、シンプルな組み合わせで有るがゆえに、
炭酸で割ると味自体がボケてしまい、美味しさよりも中途半端な酸味と、
エグ味を感じやすくなってしまいます。
バーで頼んだ炭酸を使用したカクテル、言い換えれば度数が低いはずのカクテルが、
非常に飲みずらかった経験はおありでしょうか?
それらに関してもこの落とし穴にかかってしまっていると思われます。
recipe&technique
では解決策とはどの様なものなのか?
その答えは非常にシンプルです。
まずシェークする材料の部分を全体的に濃く作ります。
これはアルコール度数に関わらずレモンの酸味と砂糖の甘味も含めてです。
レモネードをイメージすると伝わりやすいかと思いますが、
原液部分の味が濃いからこそ炭酸で伸ばして味を整えることができます。
しかしながらアルコールを含む手前、濃くするにも限度があります。
そこで次の対策ですが炭酸の量の調節になります。
炭酸を少なくすることで味のバランスを取ります。
ジンフィズのフィズという部分が、炭酸の弾ける音を表しているという説がございますが、
ある意味ここがジンフィズを美味しく作るための壁になっているように私は感じております。
ジンフィズを作る際は特に、原液の濃度と炭酸量の調節が鍵を握っています。
炭酸が際立ったカクテルではなく、濃厚なジンとレモンの味わいに、
炭酸を少し加えて爽やかさを演出したカクテル、というのが解釈としては正しいかもしれません。
分量例:
ビーフィーター47 | 45ml |
レモンジュース | 20ml |
粉糖 | 3tsp |
炭酸 | 適量 |
Ending
こうしてカクテルを一つひとつ振り返ると、一見正しいと思われる作り方が、
思わぬところで足を引っ張ることがあります。
捉え方ひとつで結果が大きく変わる分、バーテンダーの知識と経験が問われるのだと考えています。
今後もより良い方法を日々探していこうと思います。