スモールビジネスのマーケティング考  -コミュニティ形成の未来①-

コロナ禍だけでなく、様々な物価高により飲食店を中心に多数の店舗が店を閉じています。
改めて、運営を続けられている店は、何かしらの強い点があったり、
ECをはじめたり、テイクアウトやデリバリーに対応したりと、
状況に合わせた変化に対応できたことが大きいと思います。
しかし、その行動を支えたのはお店のファンがいたからこそだと思います。
そして、そのお店とファンの関係が新たな形を見せています。

■コロナ禍で再確認されたファンの力

コロナ禍の際には、飲食店はランチ営業やテイクアウト、
Uber Eatsや出前館など、第三者により配達されるデリバリーサービスの対応、
冷凍やレトルトにすることによるEC化対応などで、
売上の確保に努めたりされてきたと思います。

そんな中、色々な施策を同じ様に行なっているのに、
売上を維持できた店、できなかった店のギャップが生まれたのはなぜでしょうか?
様々な対応の早さだったり、普段行けない店の料理がテイクアウトやデリバリーで気軽に楽しめたり、
そもそもの商品の良し悪しもあったりするでしょう。
しかし、その裏側には店のファンの存在が大きかったと考えています。

飲食店の売上を支える要素は、客数×客単価になり、
それらを上げるために認知、消費者数、発注率、客単価をそれぞれ上げる必要があります。

例えば、立地が良ければ、自然に認知が上がり、新規の来店者数も数多く来られる機会も多いので、
必然的に売上も好調になる可能性が高くなります。
しかし、その様な恵まれた環境を得るためには、多くの投資が必要になり、
個人経営の飲食店ではなかなか困難ではないでしょうか。

■新規来店者数を増やすためのコスト

例えば、来店者数を増やすのに何をすべきでしょうか?
新規来店者となれば、広告を出稿したり、チラシを配布したりと何かしらコストがかかります。
5万円で広告を出稿し、広告きっかけで5組の新規来店者が来てくれれば、5万円 ÷ 5組 = 1万円となります。
広告費の5万円を回収するためには、この5組から5万円分の売上ではなく利益を出さなければなりません。
利益率を8%とした場合、5万円の利益を得るためには、62万5千円の売上、
一組あたり12万5千円の売り上げが必要になります。
一回の売り上げでなくてもいいのですが、回収には時間が掛かります。
極端な例ですが、広告だけの来店施策が非常に効率的ではないということがわかります。

これらのコストを削減させるために、
個人経営の店舗では新規来店者をファン化をさせることが重要だと認識できると思います。

前回、試食会やレセプション、試食会で知って、
来店してくれたお客様を確実にファン化して再度来店して頂くようにする必要があります。
そのために、スタンプカードの発行だったり、SNSのフォローや投稿を促したり、
特別なサービスを行なったりと業種や平均客単価によって手法は様々あると思います。
これらの手法は「ロイルティマーケティング」と呼ばれる手法になります。
ロイヤルティとは、使用料を指すロイヤリティと違い、
ロイヤルティ = 忠誠心となり、お客様の忠誠心を高める様な施策になります。

■忠誠心の高いファンの醸成

ロイヤルティ=忠誠心って聞くとハードルが高いように感じられますが、
まずは、お客様に何度でも来てもらえる様に心がける様な施策になります。
先述のように、ポイントカードやスタンプカードの発行でも、
SNSをフォローしてもらい最新情報を届けられる様にするのも、
ロイヤルティマーケティングの初歩でしょう。
そして、何度も足を運んで頂けるお客様には、
誕生日や記念日に特別なサービスをしてみたりすることにより、
よりお店に対する忠誠心は上がるでしょう。
そうするとロイヤルティの高いお客様は、
自ずとSNSで拡散してくれたり、新たなお客様を連れてきたりと、
自発的に広告を行なってくれる様になるでしょう。
とにかく、一度来て頂いたお客様に好きになってもらうように行う施策が、
ロイヤルティを高め、お客様にファンになってもらうための施策と考えてください。

ここまで来れば、あとはロイヤルティの高いお客様同士を繋げて、
お店を中心とするロイヤルティの高いコミュニティが構築することが可能になります。
ロイヤルティの高いお客様同士のパーティーだったり、
ゴルフコンペだったり、BBQだったり業態に合わせた形できっかけとなるイベントを実施してみましょう。
その「お店が好き」という共通項でお客様同士のコミュニケーションが進むでしょう。
そうなると店が中心となったお客様同士が繋がるコミュニティが形成されるでしょうし、
あのお店が好きだから行くに加えて、コミュニティ内の誰かに会えるという、
来店のための新たなモチベーションが生まれるでしょう。

ただ、注意すべきは閉鎖的なコミュニティではなく、
開放的なコミュニティ運営を心がけてください。
そうでなければ、ただのお友達の関係だけ終わってしまい、
当初の目標である新規来店者数の増加に繋がりませんので。

コミュニティの形成ができれば、店のある地域では名の知れた店になっているでしょうし、
このタイミングであれば、広告出稿などのプロモーションが効果的に効いてくると思います。
例えば、デリバリーやテイクアウトなど新たな業態へのチャレンジも成功しやすくなっていると思います。
それは単純にお店が発信するアクションに対し、
キチンとリアクションや共感を示す人も多くいる状態で、その共感した内容を拡散してくれるでしょう。
そして広告接触に加え、拡散された情報を基に来店されるお客様の数も増えるでしょう。
単純に広告接触してもそれは知ってもらえるかどうかであり、
そこにリアルの人脈からの情報が後押しになって、実際に来店されるかどうかでしょう。
事実、様々な調査で購入のきっかけ、来店のきっかけで「友人、知人の紹介」は大きな数字を残していますしね。
ですので、コミュニティの形成により、
「客が客を呼ぶ」状態を作れれば、かなり集客に貢献できるでしょう。

また、コミュニティ内の交流からお客様同士の繋がりから、お客様にとっても新たな関係性が生まれ、
例えば仕事に発展したり、結婚に繋がったりと様々なメリットを生み出すことも期待できます。

話がずれてしまいましたが、お店を中心としたコミュニティの形成は、
様々な形でメリット生み出しますし、
そして、コミュニティの新たな形が生まれてきています。
次回はお店を中心としたコミュニティの新たらな姿と未来予想図についてお話しできればと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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