Cocktail Story ~ ホワイトレディ

introduction

 今回はカクテルのホワイトレディについてお話ししていきたいと思います。

 ショートカクテルの中では比較的ポピュラーなカクテルではありますがバーによって違いが生まれやすいカクテルであると考えています。バーによる違いはどのカクテルでも生じることではありますがこのホワイトレディはその違いが大きく、その点を調整することで自分好みのカクテルに仕上げやすくなります。 レシピの構成などにふれ、自宅でのカクテルメイクに役立てていただければ幸いです。

基本的なレシピ

まずホワイトレディの基本的なレシピですが

ジン 30ml
コアントロー 15ml
レモンジュース 15ml

 上記のようなレシピがカクテルブックで多く記載されていると思います。

 この2:1:1のレシピはかなり昔から記載されており、当時と比べると使用する酒類の味や保管状況も大きく変化しています。

 スピリッツやリキュールなどお酒のほぼ全てに言えることではありますが、製造に関わる設備や材料の品質は日々私たちの知らないところで変化をしています。場合によっては商品自体のコンセプト自体が変わるものもあります。

 ですのでカクテルブックからレシピを探す時は、そのカクテルブックがいつ出版されたものか確認するのが良いと考えます。

 個人的な印象ではありますが現行の商品は少し過去に販売されていた同じ商品と比べると味の濃度が低いように感じます。それは決して商品としてのクオリティが低くなっているのではなく、時代とともにそのお酒の飲み方が変化しているので需要にあわせた調整がされているのだと推測します。昔はストレートでしか飲まれなかったリキュールが現在ではほぼカクテルにしか使用されないなど理由は様々でしょう。

 次に保管状況ですがカクテルが世に出た頃から考えると恐ろしいほどに現代の設備は進化しています。保管状況と言っても酒類だけでなくカクテルに使用する氷も含め過去とは比べ物にならないほどしっかりと冷蔵や冷凍が可能です。 これによってカクテルに氷が溶ける具合を調整しやすくなり、カクテルメイクにおける着地点の選択肢は広がったと思われます

応用型レシピ

上記の内容を踏まえレシピを改めると私の場合は

ジン 40ml
コアントロー 15ml
レモンジュース 8ml

 このようになります。

 ジンとコアントローを冷凍保管にすることによって氷の溶け出しが少なくなるのでジンを増やすことでカクテルの味に厚みを持たせます。コアントローを増やしても同様に厚みを出すことが可能ですがその分甘味が増します。ここは好みによってそれぞれかもしれません。

 ジンとは対照的にレモンジュースは約半分にまで減っていますが、ホワイトレディを飲んだ一口目の印象が酸っぱいと言うようにならない量に調整しています。アルコール感と甘味と酸味のバランスを現代の保管状況や各材料の味に合うような私なりのレシピとなります。

ホワイトレディの類似レシピ

 ご存知の方は多いかもしれませんがホワイトレディには類似したレシピのカクテルが多数存在します。代表的なものではサイドカーやバラライカ、マルガリータなどが挙げられます。

 これらに関してもホワイトレディと同様に現行の材料でのレシピの調整やメインの材料となるスピリッツに合わせたバランスの取り方が必要になってきます。私の場合はサイドカーなら少し甘味を立たせたりします。

その他のアレンジ

 カクテルのレシピを調整すると別のカクテルになってしまいそうな感じもしますが、大幅に本来含まれていない材料をレシピに加えたり著しくバランスを崩さない限りは問題はないように思います。

 ホワイトレディを美味しくしようとするあまり、本来使わないリキュールなどを加えてしまうとそれはホワイトレディに似た何かになってしまいますが配合自体を増減することはむしろ必要なことではないでしょうか。

 自分ならもう少し甘い方が良い、または限りなくドライな方が良い。人によって好みはそれぞれであり、自分の好きな味に調整できるのがカクテルの良いところでもあります。

Ending

 今回のホワイトレディは、私は比較的甘酸のバランスをとったものが好みですがバーによってはかなりドライなものが提供されることもあります。

 しかしそれはどちらが正しいのかということではなく、ホワイトレディというカクテルのレシピの中でそれぞれの個性が反映されているだけにすぎません。

 限られた使用材料から自分好みのカクテルレシピを追いかけるのもカクテルの楽しい部分かもしれません。


四ノ宮清十郎

若くしてバーの世界に飛び込む。
オーセンティックバーなどで修行を積み、独立。
現在は関西を中心に飲食コンサルタントとして活躍中。

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