改めて、顧客管理を考える

コロナ禍も緊急事態宣言が解かれ、幾分落ち着いてきた感もありますが、まだまだ、世間の空気感は自粛傾向が強い様に見受けられます。この自粛感は営業という観点では、色々と動き難い様に思われます。そうなると必然的に既存顧客や以前失注した見込客にフォーカスが当たるのではないでしょうか?ここで改めて「顧客管理」に関して改めて考えて行きたいと思います。

さて、皆さんは顧客管理をどの様にされているでしょうか?エクセルやスプレッドシートを用いている方が多いでしょうか?または、会計ソフトを使われている方もいらっしゃるでしょうし、CRM(Customer Relationship Management)ツールと導入されている企業の方もいらっしゃると思います。元々、顧客管理は、江戸時代の掛売りの内容を取引先別に記入する管理帳簿「大福帳」まで遡れるくらい商売に携わる方であれば、馴染みのある考え方でしょう。顧客管理において、まずは顧客の状況を把握する事が重要であり、その為に、顧客とのコミュニケーションの内容や反応の蓄積であったり、その結果、営業などのフレームワークが見出されたりするのですが、それを個人だけで完結させるのではなく、組織全体で行うのが顧客管理を導入する意義であり、繰り返すことによりブラッシュアップされ、そのブラッシュアップの方法が「情報共有」だと考えています。

■情報共有のタイミングと情報の深度

どの様なツールや方法で顧客管理を行うかを検討する際に、重要な要素になるのは情報共有の「タイミング」と「その情報の深さ」だと考えています。緊急課題でない限り、例えば、営業会議ないし、進捗報告会が毎週なのか、月2回なのかそれぞれあると思いますが、その会議が通常の情報共有のタイミングであり、その会議の中で各々報告される内容が情報の深さだと思います。この様なスタイルで成り立つのは上長一人に営業担当が1〜2人くらいじゃないでしょうか?もしくは、上長一人に、営業担当が複数名で、かつその営業担当が経験豊富なベテラン揃いの時くらいでしょう。組織が小さい場合、共有された情報が少なくても日常の会話の中で補完出来たり、ベテラン営業担当者ですと、過去の経験から予測する事が可能です。しかし、営業担当以外に、営業活動をフォローしてくれる営業事務や、商品をより安く交渉を行う発注担当、経理担当など組織が大きくなればなるほど、彼らに情報を効率的に、どのタイミングで共有する必要があると思います。提案内容や見積りの内容は当然ですか、その顧客の規模、仕事内容、重要人物や窓口担当などディテールまで共有してもらえると営業担当以外のプレイヤーは非常に助かります。ですが、その様な内容は営業会議で話すべき内容かと言えば違いますので、別途、情報共有の時間を設ける必要がある場合もあります。その様な時に顧客管理がなんらかの形で出来ていれば、その顧客に関するデータを共有するだけでも、大きな助けになります。

■CRMツール導入のその前に

では、顧客データをどの様に保持すべきなのでしょうか?売上、生産数、在庫数など数字的データに関しては、エクセルでの管理で済むと思いますし、その数字の背景などを全員が理解出来ていれば問題ないと思いますが、その様には行かないケースの方が圧倒的に多いでしょうし、会計ソフトを用いる場合もあるでしょう。そして背景的な情報は共通フォルダを作り、その中に提案資料をはじめ様々な共有すべきデータを取りまとめるケースが多いでしょう。ですが、情報のディテールはそれだけではないでしょう。例えば、一つのプロジェクトが長期に渡る場合、プロジェクトの進捗状況に合わせて、事前に準備を進められる様に、進捗を共有できる様にしたいですし、電話での問い合わせの内容なども把握したい場合もあるでしょう。この様な情報を見る為に日報を有効に使いましょうとって言いますが、実際、日報って書きます?私個人の経験としては、メモ書き程度になる場合もありますが議事録は書きますが、その上日報を書くのは正直面倒です。その議事録をCRMツール上に記す事で顧客データの上積みを作っていくと言うのが、王道と思いますが、CRMツールは思いの外コストが掛かりますし、意外と使わないとか、運用管理に時間が割かれる場合もしばしば見受けられます。諸々の機能を考えるのであれば、CRMツールに行き着くのは至極全うですが、一足飛びに行くのではなく、一度、Evernoteなどのクラウド型のメモ管理システムを使ってみてはいかがでしょうか?CRMツールよりコストが安いと言うのもそうですが、CRMツール導入時にどの情報を残すべきかどうか選別する必要があるのですが決めきれないと思いますので、一旦、Evernoteなどのクラウド型メモ管理システムで各々の形で議事録を残してもらい必要情報、不必要情報の種類の選別を行いましょう。この作業を繰り返す事により、洗練された議事録のフォーマットが出来ますし、CRMツールにスムーズに移行させる事が可能になるでしょう。また、Evernoteなどのクラウド型メモ管理システムはリアルタイムでの更新も可能になるので、情報共有のタイミングも自ずと見出せるでしょう。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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