分析-課題解決の第一歩

Webマーケティングに限らず、課題解決の第一歩として、分析することが、重要です。
では、分析とは一体なんなんでしょうか?マーケティングの分析で言えば「発生した事象に対して、発生した原因を探る」って感じでしょうか。
では、まず「発生した事象」をどの様に認識するのか?そして、「発生した原因」をどの様に探るのか、今回は初心に戻って改めて考えてみたいと思います。

■分析する前に

分析をする前に「発生した事象」を認識するために何が必要でしょうか?「発生した事象」とは、例えば、「売上が下がった」だったりとか、「アクセス数が上がった」などでしょうが、その事象を的確に認識するために何が必要なのかと言うと平均値を知ることでしょう。その平均値と比較して、ようやく「売上が下がった」、「アクセス数が上がった」とようやく言えるのです。ですので、平均値を知ることは、判断の基準値を作りといえるでしょう。

現在は、集計などの単調な作業は自動化されたり、BIツールなどでグラフ化されたりしてますが、それを毎日眺めることになりますが、身につくには時間がかかると思います。そこで単調な作業である集計を自分の手を動かしてやってみるのがいいと思います。例えば、BIツールで表示される様々なグラフや指標があると思いますが、そのグラフや指標がどのように導き出されているのか体感できると思います。「習うより慣れろ」じゃないですが、知識として知ることと、体感して知ることのスピード感は違うでしょう。また、日や時間によって変化する数字を追うことにより、なんとなくの感覚でもいいので平均値が身につけられれば、分析のスタートラインに立てるでしょう。

この集計作業、毎日やってもそこまで意味はないので、ある程度の期間、例えば1週間くらい溜め込んで実施した方がより前後関係が見れるかもしれないので、やっても週一くらいにまとめてやるのがいい頃合いなのかと思います。私が会社員時代は、日頃は管理ツールで数字を見て、一週間の軸として集計作業を行いPDCAのサイクルを作っていました。

■分析とは?「分割」と「分解」

まず、分析と基本は点と点で比較するのではなく、線で考える必要があります。その線が上がったなり、下がったなりした原因を探るためをデータを掘り下げての計測が初手になります。さて、データを掘り下げる作業ですが、まずは分割することでしょうか。性別や年齢、住所、職業など様々なセグメントを基にデータからそのセグメントに属しているデータを抽出します。セグメント毎に切り分けたデータをそれぞれ平均値を導き出し基準を作ります。基準となる平均値をベースに評価を下せるようになるのです。

例として、とある工具のECサイトである日を境にアクセス数が大きく伸びたのですが、売上が減少しました。
まずは、アクセスしてきている人がどのような人たちで、どのようにアクセス数が増えていったのか把握するために、アクセスしてきた人たちの年齢であったり、性別、職業など切り分けましょう。そして、アクセス数が増えて、売上が減少する前の平均値をセグメント毎に出しておきましょう。これによりセグメント毎の比較でも、事象が発生する前後で比較することにより、どの属性のセグメントで変化が大きいのか的確に把握できるでしょう。
今回の場合、30〜40代の女性のアクセスが急激に増えたとしましょう。これも一つの分析結果なのですが、もっと踏み込んで調べてみましょう。ページ毎のアクセス数を上記のセグメントで切り分けると、アクセスが増えた30〜40代の女性のアクセスがある商品のページに集中している事が判明しました。
アクセス増加は「30〜40代の女性のアクセスが急激に増えた」ためですが、売上はなぜ下がってしまったのでしょうか?事象が発生した後になりますが、成約単価はある程度維持されていましたが、事象の発生後成約件数が著しく落ちていました。このことから仮説として、ECサイトのアクセス過多のため決済までの時間がかかり、離脱してしまったと目星をつけ、事象の発生後のサーバーの負荷状況を調べてみると、仮説通り、サーバーがいつも以上の大量のアクセスを捌ききれなかったようです。

上記のように「30〜40代の女性のアクセスが急激に増え、アクセスが増えすぎたためにサーバーがダウンし決済前に離脱が数多く発生し、成約件数が激減し、売上が下がった」と結論づけられるでしょう。このように事象を「分割」して、「分解」することにより原因を導き出せました。

では、なぜ男性のアクセスが大半を占める工具のECサイトで30〜40代の女性のアクセスが急激に増えたのでしょうか?こちらも調べてみましょう。まずはGoogleアナリティクスでのアクセス解析で事象が発生したタイミング以降ソーシャルネットワーク(SNS)からの流入が増え、続いて検索での流入が増えていました。SNS上で何かしらバズりSNSからの流入が増え、バズりに併せて検索からの流入が増えたと仮説を立て、SNSを調査をしますと30〜40代の女性に人気の男性タレントが商品をSNS上で紹介してくれたようで、大量のアクセスが増えたようです。しかし、購買意欲は低く、購買には結びつかなかったようです。
こちらもアクセス元を「分割」して、「分解」することにより原因が導き出せました。

このように分析の第一歩は「分割」と「分解」だと考えています。様々な分析方法はありますが、基本的な考え方として身につけておきましょう。

■重要なのはゴールの設定

分析を行うのに重要なのはゴールの設定で、課題解決がゴールになります。分析はゴールとなる課題解決すべき箇所を調べる手段です。駅伝でいえば分析は第一中継所くらいですが、課題解決というゴールに向けて最適な粒度の分析が重要な一歩になりますし、その分析がゴールへの大きな一歩になり得ます。最適な分析から最適な課題解決の手段を導き出すのが、マーケターとしての仕事でもあり、醍醐味の一つだと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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