Web3とメタバース Part.4

前回、様々な考え方のあるメタバースを整理してみました。

改めて、今、マスメディアを中心に叫ばれているVR的なメタバースは、あくまでも広告的で、

すぐに陳腐化しそうな感じがします。VR的メタバース空間で商品を買うより、Amazonや楽天で商品を買った方が早いですし。。。。

今回は前回の最後に提示した「Discord」を見ていこうと思います。

人によっては『Discordはメタバースだ』っていう人もいますが、実際にどうなのでしょうか?

■そもそもDiscordとは

Discordとは、テキストや音声などでコミュニケーションを行うチャットソーシャルプラットフォームで、

ゲーム系や技術系の方には知られていると思います。

無料で利用することができ、低遅延のボイスチャット機能など、

ゲームに適したコミュニケーションツールとして利用されてきましたが、

2020年7月にブランディングを「ゲーム専用グループチャット」から、

「あらゆるコミュニティが使えるコミュニケーションツール」へと変更し、ゲーマーや技術職の方以外にも広く使われるようになりました。

Discordで作られるコミュニティは、「サーバー」と呼ばれるチャンネルの集合体で構成されている。

ユーザーは無料でサーバーを作成することができ、

そのサーバーに招待されたユーザー(サーバーのURLを知っているユーザー)がサーバーに参加できるようになっています。

コミュニケーションの軸がフォロー/フォロワーではなく、コミュニティに依存しており、

それぞれのコミュニティは分散化しているので、会社のコミュニティと趣味のコミュニティの人格が違っていても、歪みは生じにくいでしょう。

■Discordの特徴

Discordの大きな特徴はサーバーの中でロールと呼ばれる役職を作成して、参加メンバーに割り当てることができ、

ロールごとにロールの色やコミュニティの管理、メッセージの管理といった権限を設定できるようになります。

そして、Discord Server Boostというサーバーごとの特典機能が存在し、

カスタム絵文字追加の上限の上昇、通話の音質向上、動くサーバーアイコン、

カスタマイズされたサーバー背景、画面共有機能の品質向上などの特典を受けることができます。

活発にDiscord内でコミュニケーションを行えば、機能が解放されより使いやすくなり、独自性を出せるのがDiscord特徴であり、

非常に上手くゲーミフィケーションを組み込んでいると思います。

また、botと呼ばれる外部サイトで公開されている拡張機能が使えることも大きいでしょう。

他のSNSの数多くは拡張機能はプラットフォーマーが握っているケースが多いですが、

外部の開発者が開発して公開している点も開発すら分散化していると言えるのでしょう。

■Discordの活用方法

今までのSNSと異なり、ユーザーのアクティブ具合により役職や権限付与などでき、「自走するコミュニティ」を形成できることも可能です。

実際に、アディダスやSamsung、Gucci、キャップブランドであるNEW ERA、スニーカーを中心としたオンラインマーケットプレイスであるStockXなどがDiscordを活用しています。

これまでの企業やブランドからファンや消費者への一方的なコミュニケーションだけでなく、ファンや消費者同士のコミュニケーションがあったり、

時にはファンや消費者の代表から企業やブランドへコミュニケーションが行われています。

例えば、飲食店でDiscordを活用するのであれば、TwitterやInstagramなどオープンなSNSで集客を行い、

コミュニケーションを深めるためにDiscordを用いて、顧客コミュニティの形成することが出来るでしょう。

しかしながら、顧客コミュニティの形成であればFacebookでもできると思いますが、

Discordであれば、より双方向のコミュニケーションが可能になり、より深い顧客コミュニティの形成が期待できるでしょう。

元々はゲームに適したコミュニケーションツールとして利用されてきた経緯もあり、

文字だけのチャットだけでなく、オンラインゲームのボイスチャットで使われるので音声チャットもディレイが少なく、

多人数でもストレスが少なく会話できます。

また、botを用いることで、発言数に応じ役職・・・飲食店であれば会員ランクを自動的に割り振りできたり、

クイズイベントを開催することも可能です。

NFTゲームでブレイクしたSTEPNも、Discord上で「FUN QUIZ TIME」と呼ばれるクイズイベントを定期的に開催しており、

勝者にはNFTなど景品をプレゼントしています。

STEPNの場合、Discord内で一定数の発言を行い、Lv.3に達すると招待コードの発行が可能になります。

引き続き、発言しLv.5まで上げ、招待コードから3人STEPNのDiscordに招待することで、

ようやく、クイズイベントに参加できるのです。

クイズに参加するためにコミュニケーションを必須とするため、

必然的にコミュニティに積極的に参加する様になります。

このスキームを用いれば、飲食店でのDiscordでのコミュニケーションが可能になるのではないでしょうか?

景品を割引券だけでなく、優先予約権や新メニューの試食会などの特別イベント招待などいいかも知れませんね。

Discordは、まだまだ認知度も低く、実際に使用している方も少ないです。

コミュニティがサーバー毎に切り分けられており、

サーバーに参加するユーザー毎の歪みも生じず負担も少ないでしょう。

ただ、通常のオープンなSNSとは異なり、能動的に動く意欲的なユーザー、目的が明確なユーザーが中心になると思いますので、

サーバー立ち上げた当初は積極的なコミュニケーションが必要になりますが、

ある程度コミュニティが熟成すれば、自走するコミュニティも可能になるでしょう。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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