改めてPRについて考える Vol.3

前回は「PR」を本質をまとめましたが、
今回は具体的な事例を色々と紹介したいと思います。

■交通広告って意味あるの?

ここ数年、今まで計測があやふやだったTVやラジオだけではなく、
OOH広告(街頭ビジョンや看板)などもカメラなど用いて計測できる様になっています。
OOH広告の中でもデジタルサイネージと呼ばれる、
屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、
ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアですが、
カメラがついているサイネージがあり、AIを用いて、
男女、年代だけでなく、サイネージの方を見ているかを計測できるようです。
(もちろん、個人を特定することはできませんが)
そのデータを蓄積することにより、より効果的な広告を表示させることも可能だそうです。

みなさん、OOH広告で店の案内などは何となく目的や効果がわかりますが、
ブランドや商品、サービスのOOH広告ってそこまで効果あるの?って思ったことはないでしょうか?
考え方によりますが、カスタマージャーニーでの広告接触機会を増やすなど効果は期待できますが、
OOH広告をきっかけに一緒にいる人との会話の動機になることを期待しているのです。
実際に一緒にいる人との会話をすると、認知をより深くなり、より成果に結びつくことが期待できます。

実際、私自身がOOH広告の効果に疑問を懐いている時期があったのですが、
とある総合代理店の方と話している時に、OOH広告の狙いを伺って上記のようなことを仰ってました。
その話を元に、電車の中釣りなど広告出稿しましたが、
クリエイティブを凝れば、大きく認知が取れ、
インセンティブを付与することなく、SNSでのリアクションもよく、
成果に結びつけることができました。

■Twitterのフォロー&リツイートって意味あるの?

認知を高める目的で、Twitterのアカウントをフォローしてもらい、
特定のツイートをリツイートすることで、何かしらプレゼントしたり、
メリットを付与する施策である「フォロー&リツイート」ですが、
フォロワーを増やす施策としてよく見かけますね。

ですが、フォロー&リツイート施策で獲得したフォロワーを、
「数字的」に増やすのにはいい施策ですが、
実際に商品の購買やサービスの利用に繋がる施策でしょうか?
戦略的にTwitterの運用を行うのであれば問題ないですが、
闇雲にフォロー&リツイート施策を行うのは危険かなと思います。
まず、単純なツイートのリツイートは見られない可能性が高いので、
元となるツイートに何かしらの仕掛けは必要でしょう。
例えば、添付する画像をクイズにしてみるとか、
大喜利的にツッコミを入れやすい画像を添付してみるとか、
ふと目に止まるような仕掛けが必要です。

単純なフォロワーの増加を増やすためなのか?
既存のフォロワーから発信されるコミュニケーションのきっかけを作りたいのか?
よく考えて、施策を検討しましょう。

■UGCを活用する

消費者自身の手によって作成された、ブランド・商品に関連したコンテンツを
「UGC(User Generated Contents/ユーザー制作コンテンツ)」と呼びます。
上記のTwitterでの大喜利施策を拡大させて、
様々なSNSなどで動画や画像の投稿を促す施策になります。

私が提案したのはおもちゃメーカーでリアルでのイベントを実施しているのですが、
instagramや、Facebook、Twitterにおもちゃそのものの画像ではなく、
そのおもちゃで遊ぶ子供の画像を告知の画像として用いました。

意図としては、リアルなイベントに来たいと思うのは子供ですが、
判断はご両親に委ねられますので、
その親にどのようなメリットを与えらるかを暗示し、告知する必要があります。
今回の場合、instagramによくお母さんが子供の写真を投稿しているので、
子供がおもちゃで楽しんでいる写真が撮れることをメリットとして暗示し来場を促す様にしました。
これにより、SNSへの投稿数を大きく伸ばすことができました。

直近でも、周年を迎えるキャラクターIPのキャンペーンの一環として、
昔の使っていたキャラクターのグッズなどを写真に撮ってもらってTwitterに投稿施策を行う予定です。
インセンティブは用意してませんが、投稿者の承認欲求を満たせるように、
公式アカウントでリツイートやいいねなどのリアクションを積極的に行う予定です。

「広報」は伝えたい情報を整理して、発信する場所を作り、
「PR」は広報が作った発信する場所で、どのように伝え、そして広げていくことだと考えています。
その上で、その情報に対してポジティブな印象を持った消費者にアプローチして、
商品購入やサービス利用してもらうための道筋を作るのが「プロモーション」だと理解しやすいでしょう。

また、消費者がぼんやりと抱えている課題を明確化し、その解決法を暗示したりと、
商品購入やサービス利用してもらうために必要な情報を提供するのも、ここ最近の「PR」だと思います。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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