DXの第一歩

コロナ禍で、テレワークやリモートワーク、
Web会議、ウェビナーなどが活用されはじめ、DXという言葉も数多く聞かれる様になりました。
さて、DXとはどの様なモノなのか?改めて、掘り下げてみたいと思います。

■DXとは

DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、英語表記のDigital TransformationからDは「Digital」、Xは「Trans」を英語圏では「X」と略すことが由来でDXと表記されます。
ウィキペディアによりますと『「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。』らしいです。
よく、一般的に「DX=IT化の促進」と捉えられますが、ウィキペディアでも「ITの浸透」とあるので、単に既存の作業のIT化ではない事が分かります。経済産業省の定義では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とあり、IT化の促進のみならず、データを用いて掛け合わす事により単純な効率化のみならず、商品、ビジネスモデルなどより大きな変革を促すという感じでしょうか。
もっと簡単に言うと、DXはあくまでも手段であって、「データとITを使いこなして、もっと楽をしましょう。
そして、もっと儲けましょう。」と考えています。

■データ利用の促進とは

先ほどの項目で、DXはITとデータの利用の促進と書きましたが、データの利用というのはなんとなく分かっている様で分かっていない様に思えます。
例えば、個人商店で商品を仕入れる際に、近年の動向を参考にしたり、長年の経験に基づいて行うと思いますが、これもデータを活用していると思われますが、
DXでのデータの利用は参考にしている近年の動向や長年の経験をデータとしてデジタル化し、これらのデータに基づいて、示唆や自動化する事により業務時間の削減を行えるようになります。
ここまで読んで、ピンと来た方も多いと思いますが、DXの大きな手段の一つとしてAIの活用があります。
AIとは一般的には人工頭脳と言われていますが、AIは0から動かせるものではなく、参考となる大量の学習データ(教師データ)が必要になります。

そして、その学習データをどの様に作るのか、データ量はどれだけ必要なのかと考えるとキリがありません。
ですので、まずは業務のIT化推進を進めデータ化を直ぐに対応可能な環境、もっと言うとデータを蓄積し必要に応じてすみやかに取り出せる環境を用意することが、IT化の推進、DX化の第一歩になります。

データを溜めると聞いて、堅苦しく感じる必要はありません。
とりあえず、業務中にあった事を取りまとめるだけでもいいでしょう。
例えば、営業活動の行動履歴はもちろんですが、受注、在庫などデータ化されやすい情報に加え、電話などのコミュニケーションなど意識していないとデータ化されにくい情報をエクセルでいいのでまとめてみてみましょう。
そして、天候、気温、案件の進捗状況であったり、店舗で商売されているのであれば、来店者数であったり、周辺の交通の障害など諸々と外的な要素を取りまとめてみましょう。
そうするとどうでしょうか?色々見えてくると思います。
例えば、経験上分かっている事でも、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なロジックが見えてきたり、業務上の無駄が発見できたり、業務の意図の再確認、ひょっとすると新しい発見があるかもしれません。
この体験がDXの小さな一歩になります。
これら作業を組織単位、企業単位で行えば組織単位、企業単位で行えばどうなるでしょうか?
個人間だけでなく組織間での業務の見直しや無駄の削減だけでなく、根本的に組織体系の見直しに繋がるかもしれません。

あくまでも一例ですが、現在の業務内容や、今まで実体験の経験値、口頭伝承で伝えられた内容をデータ化を行い、再度検証を行い見直し、業務の削減できる箇所、ツール利用で効率化やAIを用いて自動化できる箇所、組織体系を見直しする箇所など業務の効率化を進め、業務時間の削減することがDXの成果の第一歩になります。

ただ、ここまで読んでいただいた様にDX化が進まないことが多いです。
以前「ツール導入は一苦労」で書いた様に、ツール導入一つとってもコストが掛かり、せっかく導入してツールが使われない場合もあります。
キチンと経営層がDX化に伴う新たな経営戦略及びビジョンの明示し、DX推進の為の部署を立ち上げるくらいの強い意思表示が必要になります。
DXとは企業の組織体をアップデートする内容ですので、片手間のDXは実施しない方がマシです。

■DXの真の目的とは

DXの成果により、業務の効率化や自動化が進む事により、業務時間の削減が期待できるます。
そして、IT化やAIで解決できない業務が明確になります。
その業務こそが人が掘り下げるべき業務、業務時間の削減で減った時間で注力すべき業務だと考えています。
そして、このことがDXの真の目的になります。
たとえば、個人レベルであれば、営業業務であれば、SFAやCRMなどのツールを用いて課題を導き出し、課題に対して修正やブラッシュアップをかける、店舗であれば接客態度の向上や、組織レベルであれば、
新しい客層の開拓のチャレンジや、休眠顧客の掘り起し、EC化など、今まで「忙しいから」、「時間がないから」、「面倒だから」と避けてきた事柄に、取り組め、新たな売上の創造が可能になります。
もちろん、削減された業務時間を用いてワークライスバランスの調整するのも重要です。

DXとは、企業がコロナ禍を抜け、5〜10年後も企業を存続させる為の数少ない一つの手段だと考えられます。
今まで、ビッグデータやAIなど流行り言葉としてもてはやされましたが、このDXもその傾向にあるかなとも思ってます。
しかし、ビッグデータ→AI→DXの流れは、抽象から具体的になり、いよいよデジタル化の波は押し寄せてきてます。
改めて、キチンと目標を設定し、ロードマップをひいてDX化を着実に進めてください。DXは単純なIT化による業務効率化ではなく、「ITとデータ活用による企業のアップデート」になります。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

You May Also Like

More From Author