コロナ渦におけるバーの在り方

はじめまして、飲食店コンサルタントの四ノ宮清十郎です。
こちらで連載させていただくことになりました、よろしくお願いいたします。

さて、コロナウイルス感染拡大の影響で様々な経済的影響も騒がれるなか、私自身が長年携わってきた飲食業の中でも特にバーに関して、
現状の理解を深めながらでき得る対策と今後のバーの経営について考えて行きたいと思います。
緊急事態宣言発令を境に外出を控えざるを得ない状況が続き、解除後も再び感染者数の増加など未だに自粛せざるを得ない中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
コロナウイルスの感染状況やその症状の重篤さや経済に与えた影響等は皆様御周知の事と思われますが、著者が長年携わっているバーに関して影響と対策を考えていきたいと思います。


1.バーの社会的立ち位置、行政での分類

皆様はバーに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
近年のウイスキーブームもあり身近に感じられるようになった方も多いと思われます。
一概にバーと言っても重厚な雰囲気の店からカジュアルな店、カクテルを主とした店や一つのジャンルの酒類に特化した店まで内容も様々です。
また営業時間に関しても根強い夜のイメージがある中でエリアによっては昼から営業を開始する店も増えており、バーを利用する顧客の層も広がったのではないかと思われます。
そのようなバーではありますが、行政の扱いでは接待を伴う飲食店とされており今回のコロナ流行下では営業自粛や時短営業の対象になりやすい業態です。

2.自粛下でのバーの営業

外出自粛に伴いテイクアウトやウーバーイーツ等のデリバリーサービスの利用を開始した飲食店も多く、利用頻度が増えた方もおられるのではないでしょうか。
参入店舗も増えメニューのバリエーションも幅広くなった事は店舗と利用者双方にとって大きなメリットと言え、業界的にも新たな競争を生む良い要素になると思われます。
ではバーに関してはどうでしょうか。

2−1 営業時間

1の項目でも触れましたが、近年営業開始を昼からや夕方の早い時間に設定する店舗が増えています。
これらは食事前の利用者やハッピーアワーを始める飲食店が増えた事に比例したと考えています。
しかし私の経験上最も来店が重なり店内が混雑するのは夜9時頃から終電までの時間帯でした。
店舗のあるエリアによっては多少の前後はありますが、概ね間違いはないと思います。
しかしながら行政から時短営業の要請があった場合夜10時までの営業となり要請に従った場合営業におけるピークタイムに閉店時間を迎える事になってしまい、平常時と変わらぬ来店者数があったとしても売上のほとんどを失ってしまいます。他の飲食店と比べても圧倒的に不利な要素と言えます。

2−2 感染対策

次に店内における感染対策です。
バーでもカウンターの各席の間に仕切り板を設けたりバーテンダーがマスクやフェイスガードをつけているのを目にします。
この点に関しては早急に取りかかった店舗も多いように感じます。店内の消毒などにも同じ事が言えるのではないでしょうか。
感染対策で考えた時にバーが問題を抱えやすいのは店内の換気であると思います。どのような飲食店でも路面店もあれば雑居ビルの一室の店舗もありますが、バーにおいてはより小規模で少ない席数という点が当てはまりやすくいわゆる三密が発生しやすいのが現実です。
密を避けるために席数を減らせばただでさえ少ない席数のほとんどを無くさなければならず、結果として営業が成り立たなくなる可能性もあります。
対策をとる事は可能ですが、席の間隔という点ではバーに関わらずカウンター席をメインとする業種には大変厳しいのが現状です。
飲食業界にとって近年で最も過酷と言える状況が続く中、利用する機会が2軒目3軒目の位置付けであるバーはその中でも特に苦境にさらされている事と思われます。
人手や立地、景気などの流れに左右されにくい安定した経営というものをバーで実現可能かを今後も模索していきます。

四ノ宮清十郎

若くしてバーの世界に飛び込む。
オーセンティックバーなどで修行を積み、独立。
現在は関西を中心に飲食コンサルタントとして活躍中。

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