B to Cビジネスにおけるリードタイムの短縮

先日、とある会社さんから相談がありました。
どの様な会社さんかと言うと、
B to Bもやっていますが、
今回はB to Cで、個人で購入するには高額商品になります。
相談内容としては、
最初の接触から契約までの期間が長いので、
まずは期間の短縮させたい、
次いで、最初の接触から契約までの離脱を減らしたいとの要望でした。
今回は、相談頂いた内容を踏まえ、BtoCにおけるリードタイムの短縮について考えてみました。


■なぜリードタイムが長期化するのか?

今回、ご相談頂きました会社さんのB to Cのビジネスのフローとしては、
アドネットワークやSNSに広告出稿し、
問合せがあったら営業担当が対応し、クロージングする流れになります。
ご相談頂いた内容とざっくりとしたデータを基に、
仮のペルソナを作って、ペルソナに近しい人にヒアリングを行い、
カスタマージャーニーマップを作成しました。

カスタマージャーニーマップとは、
顧客が商品を認知して購入するまでの行動プロセスを、
行動パターンや思考、感情などの項目で分析するためのフレームワークになります。

カスタマージャーニーマップを作成することで、
顧客の詳細な行動を俯瞰的に把握できるようになり、
ボトルネックとなる課題が明確になります。

今回の気づきとして、
目的が「その商品を購入すること」の方と、
目的が「その商品を使って達成すること」の方に、
大きく分けられ、
「その商品を購入すること」を目的とする方は、
今回の課題から外れ、
「その商品を使って達成すること」を目的とする方が、
今回の課題のボトルネックだと考えられます。

目的が、「その商品を購入する方」と「その商品を使って達成する方」を比べると、
「その商品を購入する方」の方は指名買いが多く、
「その商品を使って達成する方」の方が、比較検討する項目が必然的に多いと考えられます。
それは、「目的が商品を購入する方」は購入自体が目的なのですが、
「目的を商品を使って達成する方」は、購入が手段であって、目的は別にあるのです。
情報収集や比較検討が、「目的が商品を購入する方」は簡素で、
「目的を商品を使って達成する方」は、より多くの情報収集を行い、
検討する項目が多く、情報収集⇔比較検討が複雑化しやすいことが分かり、
このことが購入までのリードタイムを長くしている要因だと考えられます。

■比較検討のループ化を止めるには

情報収集⇔比較検討を繰り返すと、比較検討のループに顧客が陥るでしょう。
この比較検討のループに陥ると、延々と比較検討を繰り返し、
購入に至らず、離脱することも多いと考えられます。
顧客に熟考してもらうことは重要だと思いますが、
比較検討のループから脱出して購入まで導くことが重要です。

まずは、比較検討のループで、
何と比較されているのか?どのように検討されているのか?を推測なり分析なりしてみましょう。
SFA/CRMツールが導入されていれば、データ化されている営業日報から抽出出来るでしょうし、
そのようなツールを導入されていない場合でも、
営業担当からのヒアリングで、顧客が悩んでいる内容を聞き出せれば、
比較対象や顧客が抱える課題など、ある程度明確になるでしょう。

「目的が商品を購入する方」の場合、その商品を購入すること自体が目的なので、
比較対象も同業他社の商品になるでしょうし、
検討すべき課題も多くはないので、営業担当とのコミュニケーションで解決するかもしれません。
ですが、「目的を商品を使って達成する方」の場合、商品購入が手段であるので、
目的が達成されるのであれば他の手段でも問題ないので、
比較対象は同業他社の商品だけではなく、レンタルで済むかもしれません。
また、実際に目的が達成されるかの検討も増えるでしょう。

このような状況において、営業担当のフォローアップだけでなく、
適切な情報発信が重要になってくるでしょう。
顧客が検討している課題を解決する方法を直接的に提示してもいいですし、
SNSなどで購入済みの顧客に語らせてもいいといいと思います。
例えば、購入した際の置き場所であったり、ランニングコストであったり、
様々なケースがあると思いますが、
具体的な解決方法の提示が効いてくるでしょう。
ですので、購入者事例を出来る限りHPや、
SNSで掲載出来るように購入者にインタビューなど実施しておきましょう。

他にも色々と対策法は考えられるのですが、
参考すべきはB to Cの事例ではなく、B to Bの事例が参考になると思われます。
ですので、営業体制もB to Cではなく、B to Bのように、
インサイドセールスとフィールドセールスと営業活動の分担も一つの策かもしれませんね。

羽木昌尚

2004年にコンテンツプロバイダに入社。
デジタルコンテンツの権利の許諾獲得、自社サービスのプロモーション業務に従事。
2006年にコンテンツデベロッパーに入社。
自社アプリの広告出稿業務に従事し、担当アプリにて900万DL達成。
また、自社メディアでの広告マネタイズを経験。
2018年より独立し、モバイルゲームやアプリをはじめ、
有名おもちゃメーカーなど様々な企業、プロダクトのマーケティング戦略の立案と実行を支援。

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