バーテンダーという仕事における必要技術の習得

前回の出店エリアの記事にてバーテンダーの技術習得について触れましたが、今回はバーテンダーの日々の業務にて必須とされるであろう技術の習得までにかかる期間に関して私自身の経験をもとにあくまでも私の解釈ではありますが書き上げていきたいと思います。

バーテンダーの基本的な技術とは?

バーテンダーの代表的な技術といえばシェーカーを扱うシェークが一番皆様の想像しやすい技術であると思います、続いてがバースプーンを扱うステアが代表的なものかと。

この二つに関しては勤務する店舗によっての違いが特に大きく、言い換えれば業界としての定義が非常にあやふやな技術でもあります。

いかなる水準に達すれば良いという基準を設ける事が難しい事が最大の課題ではありますが、これらを設定して従業員へ最短の教育を行うのが店舗責任者の最大の仕事であり、これら無くして店舗や組織の発展はないとも言えるでしょう。

技術習得の期間

では先ほどの二つの技術にスポットを当てた上で習得にかかる期間を私のこれまでの経験で申しますと、約2ヶ月です。
早い方ですと1ヶ月ほどで店舗にてカクテルを製作するに至る水準に達する事が可能です。

この期間では不可能だと言われることもございますが、不可能ではございません。

しっかりとカリキュラムを組み、指導する側が自らの技術を理解して他者が伝わる言葉を選ぶことが条件ではあります。

この考えになるまでの経験を箇条書きにしますが

修行時代

  1. 従業員の行動は全てマスターの許可が必要。(水を注ぐにも)
  2. 許可された事は各自の判断で行っていい。(顧客による)
  3. 技術習得に必要な練習等は営業前、もしくは営業終了後に各自で練習。
  4. 従業員は16時出勤で18時開店〜深夜2時閉店、その後片付けて閉店。
  5. マスターの教育方針は見て覚えなさい。
  6. 最も後輩にあたる従業員は早く出勤し、まかない(食事)の準備をしなければならない。
  7. 週休1日。
  8. カクテルを提供する許可を得るまで最短で1年、遅いと3年以上。

簡単にこの様な感じでした。

営業時間が延びる事が多く日々の練習時間を捻出するには正直睡眠時間を削るしかありませんでした、今になればなかなかハードな環境ですがこのおかげで豊富な経験を積む事ができました。

飲食企業への転職後

  1. 従業員への基本的な技術指導(指導時間内は残業代が発生)
  2. 指導する従業員が必ずしもバーテンダー志望ではない(そもそも店舗がバーでない事もあり)
  3. 会社へ事前にカリキュラムの提出、上層部へのプレゼンあり
  4. 一定期間で確実に既定の水準へ達しなければならない

転職後は上記の様な仕事が多くなりましたが、担当する従業員が皆カクテルやバーに大きな関心があるわけでは無い分初期は大変苦戦いたしました。

また確保できる時間も大きな課題でした、残業代が出る手前従業員からの不平不満はありませんでしたがあまりに時間をかけると会社から残業時間の短縮を求められます。

ここで気づいたのは自分自身がうまく説明する言葉を持たず、それが効率を悪くする大きな要素となっている事でした。

以後は自身の技術的な理解を多くの従業員に伝えながらその後アンケートを取り、理解しやすい言葉へと変換していきました。

また各店舗のイベントやキャンペーン等で必要なドリンクメニューの作成に必要なカリキュラムをファイル化して社内で共有し、実地店舗外の従業員でも閲覧可能にして必要な際に事前に確認できる様にしました。

これらの徹底によりバーテンダーに必要な技術習得にかかる期間を大幅に短縮する事が可能となったのです。

今やスマホが当たり前であらゆる情報を共有する事は非常に簡単になりました、その利便性と効率の良い指導カリキュラムがあれば申した期間は決して大袈裟なものでは無いとご理解いただけると思います。

バーに関わらず飲食業の人員育成は効率が良いほど店舗に与える利益は大きくなり、労働環境も激変します。

より良い環境で時代を担う若い人材が業界内に溢れる未来を願って止みません。

四ノ宮清十郎

若くしてバーの世界に飛び込む。
オーセンティックバーなどで修行を積み、独立。
現在は関西を中心に飲食コンサルタントとして活躍中。

You May Also Like

More From Author